教員プレゼンバトル2013 第九回講義概要

◆ 原 尚人 先生 『放射性ヨウ素と小児甲状腺がん』
_DSC9615 原先生は医学医療系のご所属で、乳腺甲状腺内分泌外科学がご専門の先生です。 「放射性ヨウ素」、「甲状腺がん」など、原発事故と関連してよく使われるキーワードに注目が集まりました。原先生は、これらのキーワードに関して飛び交う情報によって混乱しがちな私たちに、正しい認識と接し方について教えて頂きました。 原発事故に伴う放射線の人体への影響を知る上で、チェルノブイリ事故が大きな示唆を与えると言います。放射線による汚染が拡大したチェルノブイリ地方において、様々な健康被害が引き起こされたと想像されますが、事故前に比べて患者の数が統計的に明らかに増加した病気は、甲状腺がんのみだそうです。 原先生はまず、甲状腺とヨウ素の関係について紹介されました。 体に取り込まれたヨウ素は必ず甲状腺に入ります。そして通常、甲状腺にはある一定量のヨウ素が蓄積されていきます。 ここで、もし放射性ヨウ素が甲状腺に多く蓄積されると、放射線によって遺伝子が傷つけられ、細胞はがん化してしまいます。特に、細胞分裂が活発な小児は大人に比べて、影響を受けやすいそうです。 しかし、ここ日本においては、今後小児甲状腺がんはほとんど増加しないだろう、と原先生は言います。日本人は普段から海産物を多くとっているため、ヨウ素が充足状態にあり、新たに放射性ヨウ素が入ってきても蓄積されることなく流れてしまうことが、理由の一つです。 また万が一、原発事故が拡大し、退避命令が出るような事態になった場合にも、「安定性ヨウ素剤」を飲むことで新たな放射性ヨウ素の蓄積を防ぐことができるそうです。安定性ヨウ素剤が手に入らなかったとしても、昆布や昆布菓子で代替できることは覚えておくといいでしょう。しかし、短期間に何度もヨウ素を摂取することは、逆に効果が減少する「エスケープ現象」を引き起こすため注意が必要なのだそうです。 日本においては、小児甲状腺がんに過剰に心配することはない、というのが結論のようです。チェルノブイリ地方は、海産物をほとんど口にしない地域であり、日本政府が実施しているような汚染地域のミルクの出荷制限も行われていなかったそうです。 一方、ポーランドでは、海に面している土地柄のため、海産物を食べる習慣がありました。そして、政府による安定性ヨウ素の配布やミルクの出荷制限をした結果、小児甲状腺がんは増えなかったことが報告されているそうです。また万が一、小児甲状腺がんを発症したとしても、小児甲状腺がんは出術で完治できるため、決して怖い病気ではないそうです。 原発事故は、依然収束したとは言い切れません。そんな中、氾濫する様々な情報によって、健康面での不安に駆られている人も多いと思います。しかし、遺伝と甲状腺の研究という医学的見地によって裏付けられた確かな主張と、懇切丁寧で分かりやすい説明により、放射性ヨウ素や、甲状腺がんに対する不安を軽減することができたと思います。 (文責:尾澤岬)
◆ 岡田 幸彦 先生 『 「成功するサービス」の開発論理 』
_DSC9654 岡田先生は会計学を専門に研究なさっている先生です。今回は研究とは何かについて、そして成功するサービスに関する研究を発表していただきました。 岡田先生はまず、研究とは何かを語りました。岡田先生は一橋大学で社会科学とは何かを身につけ、研究なさっているそうです。まず、研究とは「誰も知らないことを明らかにする」ことであると話します。社会科学では全てが仮説で構成されますが、その仮説も過去を検証するだけではなくこれからの役に立つことが、重要なのだと強調します。 "How many papers do you have?"ではなく"What is your best paper?"が信条であると岡田先生は語ります。そして、2013年現在における岡田先生のbest paperが今回のテーマである「成功するサービス」の開発論理です。 会場ではサービス分野における原価企画のモデル化、そして実証研究をどのように行ったかを明朗な語り口でプレゼンされました。 製造業の常識では「原価を発生させるのは企業であり、価値を発生させるのは顧客である」とされています、サービス業ではそれに加えて「原価に顧客が影響を及ぼし、価値に企業が影響を及ぼす」ことが予想されました。守秘義務があるため具体的な企業名は明かされませんでしたが、岡田先生は自ら立てた仮説を高業績事業者十八社の協力を得て、この予想が実際に成功する企業において共通していることを明らかにしました。 先生は発表においてまだまだこれからも研究を続けていくことを、そして自らが「成功するサービス」の理論に基づいた行動を続けながら活動することを臭わせながら、発表を終えました。 「私はプレゼンテーションの教育を受けていないので、プレゼンテーションの参考にはならないと思う」と話した岡田先生でしたが、内容と熱意を同時に伝えるプレゼンは非常に学ぶところの多いものでした。 『種明かし』 種明かしディスカッションにおいて、「種明かしコース」と「本番コース」のどちらがいいかを岡田先生は尋ねられました。 会場では「本番コース」を希望するものが多く、「本番コース」が実施されました。その詳細はこちらでは書くことが出来ませんが、一端を http://www.sk.tsukuba.ac.jp/new_shako/ から読むことが出来ます。 (シス情・社会工学専攻の若宮浩司さんに概要の執筆をしていただきました)
◆ 逸村 裕 先生  『学術情報・成果発表・オープンアクセス』
_DSC9664 逸村先生は図書館情報メディア系で学術情報基盤を専門とされていますが、本講義の担当教員ということでもあり、最後にふさわしいプレゼンとなりました。 本講義を受講している大学院生をはじめとした研究者にとって、研究論文といった研究成果をどうやって公表していくか、またどうしたらよい評価を受けられるかということが問題となっています。 そんな中で評価の指標として誤用されているImpact Factorがあります。 具体例として2012年のImpact Factorは (2010年~2011年にある雑誌に掲載された論文が2012年に引用されたのべ回数) / (2010年-2011年の間に掲載された論文数)として算出されます。 Impact Factorはあくまで学術雑誌の指標であり、研究者に関する評価ではありませんが研究者の指標として誤用されています。さらにまた近年SNSを利用した論文に対する指標など新しい評価指標が新しくつぎつぎと生まれています。 そのため、このような評価指標は本質的に何を表しているのか、どんな意味があるのかしっかりと考えて使わなければなりません 続いて、研究を進めていく上で論文を読むことも重要です、しかし近年、学術雑誌は電子化などの流れから価格高騰が止まりません。大学図書館のような研究者のために学術雑誌や論文を契約する機関にとって非常に厳しくなっています。しかし、一方でオープンアクセスという出版形態が出てきています。オープンアクセス誌は利用者がお金を払うことなく論文にアクセスすることができます。背景に「研究は税金をもとにして行われているのだから、研究成果は国民に無償で公表されて当然である」と意識があります。オープンアクセスにもいくつかの手段があり、大学自体がもっとも身近なものとしては機関リポジトリを挙げることができます。 日本の学術情報流通の観点からみるとオープンアクセスのような情報をオープンにしていくことや研究に使われたデータを共有することに関して海外と比べ動きが遅いのが現状です。こういった学術情報が爆発的に増えていく中でこれから学術情報やその流通がどうなっていくのか研究者である私たち自身が考えていく必要があると最後には強く訴えかけられていました。 研究分野に関わらず共通する研究成果をどうやって世に出していくかという問題を改めて考えさせられるプレゼンとなっていました。 また、発表時間15分ジャストで終了し、1秒も誤差の無い時間配分はみごとでした。 逸村先生のプレゼンは仕掛けや種がある、聴衆を飽きさせないプレゼントで、ストーリがしっかりとあるので、あっという間に時間が過ぎてしまいました。 (文責:野沢健人)

教員プレゼンバトル2013 第八回講義概要

◆ 麻見直美 先生 「 體 」
_DSC9519 麻見先生はスポーツ栄養の研究をなさっています。骨の代謝に対する運動と栄養の影響を、研究室でお持ちのデータを中心にご紹介いただきました。 骨は大人になっても常に作り替えられている、ダイナミックな臓器であり、様々な要因が関わってきています。 そのなかでも特に運動が骨に良い影響があるとされています。動物(ラット)を使った運動負荷実験の結果からも運動の骨への影響は明らかです。 運動が走行運動でも水泳運動であっても骨密度を上げることが分かっているようです。 人間のデータでも運動の骨への影響は明らかです。平均よりも骨密度が高い人は、活動量が多い事もわかっています。適切な運動は骨密度を高めるのです。 しかし、アスリート(運動をしている人)でも骨密度が高い人と普通の人がいるそうです。その原因を探るために、食事バランスガイドを用いて食 骨密度が高い人は食事のバランスが良く、骨密度の普通の人はのバランスが悪いことがわかりました。 アスリートにおける骨密度の違いは食事バランスの違いによるものだったようです。自身のからだは自身の食べた者でできています。適切な運動と食事が骨を豊にし、からだをつくるのです。 質疑応答でのやりとりを1つ紹介します。 Q、栄養のバランスとは人によって違うのではないのか、どのように栄養状況を評価しているのか。(システム情報系の教員) A、正確に評価することは現実的には難しい。栄養状況を正確に判断できる指標はまだ確立できていない。血液が1つの指標であるが、アスリートだと血液等で栄養状況を評価するのは難しい。骨を評価することで集大成的な評価が出来る。 (文責:角谷雄哉)
◆ 外山美樹 先生 「悲観主義って本当に悪いの?」
外山先生のプレゼンはチェック票への記入からはじまりました。 チェック票を使ってベストを尽くしたいと思う状況を思い浮かべて、 その状況であなたがどういう準備をするのかを聴衆に回答さたのです。 このチェック票は、たぶんうまくいくと思っていてもまずは最悪の状況を予想する「防衛的悲観主義」を見極めるためのものだそう。 これまでは、楽観主義者が悲観主義者と比較して、動機付けが高いやパフォーマンスが高いとされてきた。しかし、外山先生は絶好調期のイチロー選手の名言をもとに悲観主義でも高いパフォーマンスを発揮することは可能だといいます。 特に、「防衛的悲観主義」に関する研究をなさっているそうです。 防衛的悲観主義者はどのようにパフォーマンスを高めているのでしょうか。ダーツのパフォーマンスにかんする研究が紹介されました。防衛的悲観主義者はダーツの前に成功したところをイメージさせたり、リラックスさせたりするよりも、失敗している状況をイメージしたときにパフォーマンスが高まるのです。 このことは、ダーツだけではなく他の方法でパフォーマンスを測定しても同じことが言えるそうです。 スライドのデザインが美しく、プレゼンもそれに合わせて流れる様にすすめられました。スライドの凝ったアニメーションに対しては歓声が上がるほどでした。外山先生はデザインなども独学で学ばれ、スライド作りに活かされているようです。今回のパフォーマンス(プレゼン)に対して、先生自身は防衛的悲観主義だったのでしょうか。 質疑応答でなされたやりとりを1つ紹介します。 Q、何歳くらいから決まってくるのか、外的要因はなんなのか。自分の意識で替えられるのか。 A、中学生や小学生高学年では確立している。外的要因としては様々なことが関わっている。人によって違うのではなく、行動(パフォーマンス)によって考え方がちがう。ある行動に対する、方略・方法のことを拾っている。 (文責:角谷雄哉)
◆ 松島亘志 先生 「イトカワから考える固体粒子系物理」
[プレゼン発表] _DSC7376 松島先生は、システム情報系で粒状体力学・地盤工学を専門に研究している先生です。今回は、以前話題となった衛星「はやぶさ」が持ち帰った小惑星「イトカワ」の“粒子”に関する研究を紹介されました。 小惑星イトカワの表面は、ゴツゴツした岩塊のイメージがありますが、度重なる隕石の衝突によって細粒化した粒子がたくさん存在します。はやぶさ計画では、この粒子を回収することに成功したことで、大きく盛り上がりました。 はやぶさが回収した飼料は、国内外の様々な研究グループによって解析されましたが、松島先生は、「粒子の大きさや形状」に着目する研究を行いました。 解析で分かったことは、イトカワの粒子の大きさの分布は、「フラクタル」を示すということでした。言い換えると、イトカワの表層の写真を、様々な長さの尺度で撮影しても、どれもそっくり同じに見えるということです。 実はこのフラクタルという性質は、イトカワの表面の粒子だけでなく、月や地球上の粒子の大きさ分布など、様々な所に顔を出す、とても普遍的なものだそうです。このことは、隕石が衝突して、細粒化される際のプロセスの類似性を示唆します。 しかし、イトカワと月や地球の粒子では、同じフラクタル性を示しても、フラクタルを特徴づける数字がわずかに異なっているそうです。そして、この辺りの微妙な違いが、今後に向けて興味を駆り立てる研究対象なのだそうです。 イトカワの表面という壮大な宇宙での出来事が、地球上での身近な出来事と、フラクタルという性質でみごとに繋がった瞬間、とてもぞくぞくしました。本研究は、学術的にも非常に高い評価を受けており、今後の研究の発展が期待されます。   [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. 試料の解析というと、粒子の「組成」の分析がメインだと思ってしまうが、「粒子の大きさや形」を解析することでも、いろいろと面白いことがわかるのか。(生命環境科学研究科の教員) A. 大きさや、形状を調べるという簡単な解析でも、面白い結果は出てくる。比較的単純なルールに物事が支配されていることを反映していると思う。   Q. はやぶさが持ってきたイトカワの粒子はごく少数であったと聞いたが、実際どの程度か。(農学が専門の大学院生) A. はやぶさが持ち帰った容器を、トントンと叩いて取り出した粒子が40個。それよりも小さくて、容器からヘラで掻き出して取った粒子が1469個。   [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。   (文責:尾澤岬)

教員プレゼンバトル2013 第七回講義概要

◆坪内孝司先生 「採石場における小割作業の自動化に向けた取り組み」
[プレゼン発表] _DSC7376 坪内先生は、システム情報系の知能ロボットの研究がご専門の先生です。今回のプレゼンでは、坪内先生自身が、過去の学会の口頭発表で“実際に使用した”スライドを使って発表されました。 先生のプレゼン内容を簡潔に言うと、それはまさにタイトルの通りでした。「名は体を表す」というコンセプトのもとで、タイトルの選定には充分推敲されているそうです。 コンクリートの骨材として使われる石灰石は、建築の現場では欠かせない材料です。ですが、この石灰石を採石するには、非常に大きな手間がかかります。まずは、石灰石鉱山で爆薬を用いた発破を行い、大きなゴロゴロとした石灰石の岩に砕きます。その後、運びやすいように、この岩を小さく割る作業(小割)をします。最後に、小割して運びやすくなった石灰石を輸送し、所望の場所まで届けます。 非常に重く、ゴロゴロと不規則な動きをする石灰石の岩を、ショベルカーでコントロールし、小割する作業には、熟練した操作が必要です。また、石灰石の不規則な動きは、輸送の際にもしばしば、突発的な渋滞を引き起こします。 先生の研究は、これらの操作を知能ロボットの技術を用いて自動化しようという試みです。具体的には、ロボットに石灰石を認識させ、アームの自動制御を用いて石灰石を移動させる技術や、画像処理技術を応用し、輸送の際の渋滞箇所を検知する技術の開発を進めています。 現在、屋内での実験を繰り返し、改良を重ねている段階だそうですが、坪内先生らの開発した技術が、採石現場で活躍する日も刻々と近づいている模様です。 多くの受講生にとって、プレゼンの主な機会は、学会や研究会だと思います。なので、実際の学会での発表を元にした、坪内先生のプレゼンは、スライドづくりや、発表のリズム等、そのままお手本となるものでした。   [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. ヒトが作業する場合と、ロボットに自動化させる場合では、現状では効率はどれくらいか?(数理物質科学研究科の大学院生) A. 現状では、ヒトが作業した場合の7割ほどの効率である。熟練したヒトは、岩のどこをつつけば効率よく動かせるか分かっている。ロボットはそれがまだできていない。このことは今後の課題でもある。   Q. 岩を転がす際のショベルが一本指なのは理由があるか?二本指の方が効率が良い気がするが。(体育科学が専門の大学院生) A. 一本指が昔から使われているから仕方がない。今この指の部分を作っているのは一社のみ。この規格を変更することは、コスト的に非常に難しくなっている。なので、この規格を前提にして自動化の研究を進めている。      
◆鈴木義和先生 「静電噴霧熱分解法: 装置づくりからナノ材料の合成まで」
[プレゼン発表] _DSC7376 鈴木先生は、無機系エネルギー・環境材料の研究者です。 自身でおっしゃるように“こてこての大阪人”で、芸人さながら、「どうも~~」と会場入りし、聴衆を沸かせました。 鈴木先生は、自身が経験した、研究室の立ち上げ、新規研究分野への参入をストーリー形式で紹介されました。研究室の立ち上げ時や、新規研究分野へ参入する際には、往々にして予算があまりなく、最新の実験機器を買うことができません。そんなとき、「自分たちで装置を自作する」という気概が大事だと鈴木先生は言います。 さらに、苦労して装置を自作することで、ブラックボックス化しがちな装置の扱いから脱却し、市販の装置ではできないパラメータの調整が可能になる等のメリットもあるそうです。 プレゼンのキーワードである「静電噴霧」とは、微細なナノ粒子をつくる手法のひとつです。非常に細いノズルから、電圧を印加した液体を吹きつけることで、大きさの均一な微粒子をつくることができます。そして、この均一な微粒子は、ナノ材料として幅広い応用の可能性を秘めています。 今まで、教員プレゼンバトルでプレゼンされた方の中でもダントツにエンターテイメント性のあるプレゼンでした。例えば、プレゼン途中でクイズを出し、正解者に研究室オリジナルのシールを配るなど、教員プレゼンバトルでしかできないような面白ネタが満載でした。   [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. 単一の大きさの微粒子が作成できると、どのような点が応用としてうれしいか?(教育学専攻の大学院生) A. 身近な例では、ディスプレイの開発に役立っている。また、球状の形状は表面積が大きいため触媒として使用する応用が考えられる。   Q. 私は今、音響の研究をやっていて、自作のマイクを作っている。実際はなかなか思った通りの動作をしてくれない。装置を自作する際に、何か工夫していることはあるか?(音響工学が専門の大学院生) A. 一般に、私の研究対象である材料系は、機械系に比べて、大きく測定値が異なるということはあまりないが、導電性が桁はずれに違ってくるということがまれにある。そういうときは、一見すると関係なさそうなパラメータも再度考え直してみる、という方針でいる。    
◆佐藤正美先生 「排便障害はいかにQOLを低下させるか」
[プレゼン発表] _DSC7376 佐藤先生は、医学医療系の先生です。研究と同時に、臨床の現場にも携わっています。看護系の先生が、この教員プレゼンバトルで話すのは初めてでした。なので、どんな話をするのだろうか、と受講生はとても興味を持ったと思います。 そんな多くの受講生にとって、未知の世界である看護学への入り口として、佐藤先生はまず、「看護的な人間の捉え方」について紹介されました。看護に携わる人は、人間を分析的ではなく、トータルに、そして統合的に捉えているそうです。 佐藤先生が、今回発表された研究テーマは、「直腸がん前方切除術後の排便障害を評価」です。日本人の死因のトップは、がんと言われています。がんの中にも、胃がんや肺がんなど、様々な種類がありますが、「直腸がん」は、数あるがんのなかでも死因の上位に位置するものだそうです。 直腸がんの治療に、直腸の前方を切除するというものがあります。このような手術を受けた患者さんは、普段の生活に欠かせない排便に苦労することも多いそうです。例えば、私たちは、オナラか便のどちらが出そうなのかということを感覚的に分かります。なぜかというと、肛門付近に、両者を感知するサンプリングセンサーが付いているからだそうです。しかし、直腸がん前方切除術を受けた患者さんには、このセンサーは働かないため、大きな障害を伴います。 佐藤先生は、このような患者さんへのアンケートや、排便行動の定量的な評価、文献調査を駆使し、患者さんのQOLの向上を目指して日々研究しています。 人間をトータルに捉えるという看護の性格から、プレゼンには、悲しい局面や幸せな局面など、人間の感情的な内容が多く含まれていました。佐藤先生は、これらの喜怒哀楽を、発話の強弱や、トーンでみごとに表現していました。そして何より、患者さんへの愛が存分に伝わってくる発表でした。   [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. 海外によってトイレ事情が大きく異なる。海外に行くと、つくづく日本はトイレ事情に恵まれていると思う。すると、国によって排便障害への捉え方が変わってくるのではないか。(数理物質系の教員) A.確かに、日本はトイレ事情に恵まれている。しかし、過去の海外の文献等を調査する限りでは、国による排便障害への捉え方に大きな変化はなく、みんな同じ悩みを抱えているようである。       (文責:尾澤岬)

院生プレゼンバトル2013 エントリー受付開始

院生プレゼンバトル2013のエントリー受付を予定通り開始しました!! アナログな書類のやり取りが大変という声を多くいただきましたので、今回は全てWebフォームへと移行しました。 下記の手順を参考にしていただき、エントリーフォームに情報をご登録ください。 エントリー方法
  1. エントリーページにて、必要な情報を入力し、ユーザー登録(エントリー仮登録)をおこないます。
     ※現在、ポスター発表部門のみエントリーを受け付けています。
     
  2. 登録したメールアドレスにユーザー登録情報が送られてきます。
    ※運営側の、手動による承認処理が必要なため、即時ログイン可能にはなりません
     
  3. ユーザー登録が完了すると、メンバーページ にログインできるようになります。
    ログイン後は、最初に登録した情報を修正することが可能となります。
    10月9日まで発表概要やキーワードなどの必要な情報を入力してください。
    昨年度の発表概要はこちらを参照してください。
     
  4. また、指導教員許可書と学生証の写しの提出をもって本エントリーが完了となります。
    10月5日まで書類提出フォームより提出してください。
     
エントリー受付期間は8月1日(木)〜9月30日(月)です。 chart
ポスター発表部門へのエントリーは、
10月末(予定)まで受け付けています!!
  院生プレゼンバトル2013 発表エントリー

院生プレゼンバトル2013 発表要領

企画概要 発表要領 エントリー方法(口頭部門・ポスター部門共通) 著作権ポリシー インターネット配信および個人情報等の取り扱い Q&A
PDF版もあります → 院生プレゼンバトル2013 発表要領(PDF) 
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大学院生学際研究フォーラム 院生プレゼンバトル2013

2013年7月24日 つくば院生ネットワーク(TGN) 発表要領責任者: 松原 悠(人間総合科学研究科M1) 企画責任者: 本多 健太郎(人間総合科学研究科M2)

企画概要

1. 概要 院生プレゼンバトルとは、研究活動に従事する大学院生による研究プレゼンテーションのNo.1を選ぶ企画です。口頭発表部門とポスター発表部門があり、両方の部門にエントリーすることも可能です。 chart 2. 目的 院生プレゼンバトルでは、「研究プレゼンテーションにおける、プレゼンターと聴衆のコミュニケーション」を実践し、異分野間の学際的交流を促進することを目的にしています。プレゼンターには、科学コミュニケーション、異分野コミュニケーション、多分野コミュニケーションの3つを満たす研究プレゼンテーションを期待しています。また、聴衆がプレゼンターとの質疑応答や評価を通したやりとりを行えるようにすることで、エンターテインメント性とともに、アカデミック性を担保できる交流を目指しています。 Fig1 出典: 石田尚ら(2012)「筑波大学における『院生プレゼンバトル』の事例報告」『科学技術コミュニケーション』11, pp.63-73, 北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP). 3. エントリー資格
  • エントリー時~2013年11月4日(月)の期間中、筑波大学大学院生であること。
  • 指導教員の許可を得られること。
4. スケジュール(予定) 10月12日(土) 12:00-17:00 口頭発表部門予選1日目、プレゼンター交流会 10月19日(土) 12:00-17:00 口頭発表部門予選2日目、プレゼンター交流会 11月3日(日) 10:00-18:00 ポスター発表部門本戦 11月4日(月) 12:30-17:00 口頭発表部門本戦、全体交流会 5. 賞 口頭発表部門では本戦出場者に、ポスター発表部門では上位3名に対し、賞状と副賞が授与されます。 ※すべての賞は11月4日(月)の口頭発表部門本戦の閉会式中に授与されます。 6. 関連科目 院生プレゼンバトルは、下記の大学院共通科目と連動しています。 第一線研究者 教員プレゼンバトル –What’s My “University of Tsukuba”?
  • 科目番号:01ZZ314
  • 担当教員:永田恭介(学長)、野村港二(教育イニシアティブ機構)
  • 開設学期:春ABC、秋A
  • 教室:2H101
  • 単位数:1
  • キーワード:プレゼンテーション、異分野交流、競争的資金獲得、院生プレゼンバトル
  • 開講日:4/12, 4/26, 5/17, 5/31, 6/14, 6/28, 7/12, 7/26, 8/2
  • 開講時限: 5-6限(15:15-18:00)
異分野学生の協働によるコンテンツ開発演習 (4)異分野間コミュニケーションのためのプレゼンテーション・バトル
  • 科目番号:01ZZ312
  • 担当教員:逸村裕(図書館情報メディア系)
  • 開設学期:春ABC、秋A
  • 教室:2H101
  • 単位数:2
  • キーワード:コンテンツ、協働、コミュニケーション能力
  • 開講日:4/19, 5/10, 5/24, 6/7, 6/21, 7/5, 7/19, 7/31, 秋Aも予定
  • 開講時限:5-6限(15:15-18:00)
※上記の科目では、大学院生だけではなく教員・学群生の聴講(いわゆるモグリ)も歓迎しています。

発表要領

Ⅰ. 口頭発表部門 1. 1人あたりの持ち時間 予選:20~30分(プレゼンテーション15分+質疑応答5~15分) ※一鈴 10分、二鈴 15分、三鈴 20分~30分 ※エントリー人数により質疑応答の時間は変動します。 本戦:30分(プレゼンテーション15分+質疑応答15分) ※1つのプレゼンテーションにつき、壇上でプレゼンテーションを行うことができるのは、エントリー者である1名に限られます。 2. 審査員 予選:来場者、プレゼンターおよび運営者 本戦:来場者および招待審査員(プレゼンターや運営者が審査員となることも妨げない) ※招待審査員は、学長など筑波大学要職者、研究科長、教員プレゼンバトルプレゼンター、つくば市内研究所職員、他協賛者を予定しています。 3. 審査項目 審査員は、以下の6項目に基づき、それぞれ0~5点の6段階で評価します。 Story: 論旨展開は明快で、道筋だったストーリー展開であったか。 Originality: プレゼンターの研究について、研究分野での位置づけと独自性が明瞭であったか。 Technique: 理解を助けるための表現技法が優れていたか。 Interdiscipline: 異分野学生向けのプレゼンテーションが構成できていたか。 Society: 研究の社会的な価値を伝えられていたか。 Awareness: あなた個人の意識に変化が生まれたか。 4. 得点 それぞれの審査員が評価した得点の総和を審査員の人数で割ったものを、プレゼンターの得点とします。 5. 会場設備 スクリーン、プロジェクター、D-SUB端子、レーザーポインター、マイク(本戦のみ)、プレゼンター向けプレゼンタイマー ※ノートパソコンは、TGNでもご用意致しますが、レイアウトが崩れる可能性もあります。ご自身でノートパソコンをご用意されるか、PDFに変換したファイルを準備されることをおすすめします。その他のプレゼンテーションツールに関しましては、各自で準備くださるようお願い致します。 6. 予選の実施 予選では、参加者が10月12日(土)のブロックと10月19日(土)のブロックに分かれます。各ブロックから2名ずつ、合計4名が決勝に進出します。ただし、エントリー人数が多い場合は各ブロックがさらに2グループに分かれます。この場合は、各グループから1名ずつ、合計4名が決勝に進出します。 会場:3B棟2階プレゼンテーションルーム(予定) タイムテーブル(10月12日(土)および10月19日(土)共通、エントリー人数が20名の場合) 12:00-12:15 開場、受付開始 12:15-12:30 開会式 12:30-12:50 プレゼンター1枠 12:50-13:10 プレゼンター2枠 13:10-13:30 プレゼンター3枠 13:30-13:50 プレゼンター4枠 13:50-14:10 プレゼンター5枠 14:10-14:20 休憩 14:20-14:40 プレゼンター6枠 14:40-15:00 プレゼンター7枠 15:00-15:20 プレゼンター8枠 15:20-15:40 プレゼンター9枠 15:40-16:00 プレゼンター10枠 16:00-17:00 プレゼンター交流会、本戦出場者発表、閉会式 ※ご自身に割り当てられた枠が始まる5分間前までには、必ず会場にいらっしゃってください。 ※開会式までに会場にいらっしゃることができない場合は、事前にお知らせください。 ※開会式、プレゼンター交流会、本戦出場者発表、閉会式の際には、なるべく会場にいらっしゃってください。 7. 本戦の実施 予選を通過した4名がプレゼンテーションを行います。 会場:大学会館ホール タイムテーブル(予定) 13:00 開場、受付開始 13:30-13:40 開会式 13:40-14:10 プレゼンター1枠 14:10-14:40 プレゼンター2枠 14:40-15:00 休憩 15:00-15:30 プレゼンター3枠 15:30-16:00 プレゼンター4枠 16:00-16:10 審査員講評 16:10-16:15 教員プレゼンバトル紹介 16:15-16:45 教員による特別プレゼンテーション 16:45-17:00 表彰式、閉会式 ※ご自身に割り当てられた枠が始まる5分間前までには、必ず会場にいらっしゃってください。 ※開会式までに会場にいらっしゃることができない場合は、事前にお知らせください。 ※開会式、表彰式、閉会式の際には、なるべく会場にいらっしゃってください。 8. プレゼンター持ち込みPC故障の場合 プレゼンテーション中にプレゼンターが持ち込んだPCが故障した場合は、TGNが用意したPCの提供を受けることができますが、動作の保障はできません。なお、運営に支障が出る程度のプレゼンテーション開始・終了時刻の変更をすることはできません。     Ⅱ. ポスター発表部門 1. 実施時間 ポスター掲示時間は、11月3日(日)及び4日(月)の10時~18時です。 全てのプレゼンターがプレゼンテーションを行うコアタイムは、11月3日(日)13時〜15時です。 審査時間は11月3日(日)13時〜15時30分です。 プレゼンターは、コアタイム以外でも、ポスターの前で自由にプレゼンテーションを行うことができます。 ※1枚のポスターにつき、プレゼンテーションを行うことができるのは、エントリー者である1名に限られます。 2. 会場 大学会館ホワイエ 3. 審査 審査時間のみ、来場者が審査員となって審査を行います(プレゼンターや運営者が審査員となることも妨げない)。審査員は口頭発表部門と同じ審査項目に照らして1つのプレゼンテーションを選び、投票箱に票を投じます。 4. ポスターのサイズ 最大A0版 5. 会場設備 ポスターボード(最大A0版縦置き) 6. ポスター印刷について 研究科・専攻などで印刷ができない方は、10月25日(金)までに、TGN宛てにメールにてデータの送付をお願いします。その際は、件名に「院生プレゼンバトルポスター印刷」とお名前を明記し、データ形式はPDFとしてください。 7. ポスターの図書館での展示および機関リポジトリへの登録について 院生プレゼンバトルのポスター発表部門で用いられたポスターを、図書館のラーニングスクエアにて展示する予定です。展示の希望をされない場合は、TGNスタッフにお知らせください。また、ポスターのつくばリポジトリへの登録を推奨しています。 つくばリポジトリ: http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/Tulips-R/tulips-r.php 8. プレゼンテーションにおける注意 プレゼンテーションでは、ポスターを主として用いてください。ただし、補助資料として他のツールを使うことはできます。 また、来場者の移動や他のプレゼンターのプレゼンテーションの妨げにならないようにご配慮ください。

エントリー方法(口頭部門・ポスター部門共通)

1. エントリー資格(再掲)
  • エントリー時~2013年11月4日(月)の期間中、筑波大学大学院生である
  • 指導教員の許可を得られること。(下記3. 参照)
2. エントリー 8月1日(木)〜2013年9月30日(月) 10月30日(水) Web上のエントリーフォーム( http://tgn.official.jp/gpb2013entry )に次の必要事項を入力してください。
  • 氏名、所属、学年、連絡先
  • 研究分野、プレゼンテーションのタイトル
  • エントリー部門(口頭発表部門・ポスター発表部門・両方)
3. 指導教員許可書と本人確認資料の提出 8月1日(木)〜10月5日(土)10月30日(水) 研究室の意向に反する研究に関する情報流出を防ぐため、指導教員に院生プレゼンバトルへの出場に関する承認を得た上、直筆にて署名を受けてください。指導教員許可書は、エントリーの登録をされた方にのみ、TGNより書式(PDF)を送付いたします。指定の書式以外での直筆サインの提出は認めません。また、指導教員許可書の提出を以って正式にエントリー受け付け完了とします。 同時に、本人確認資料として、学生証のコピーを提出してください。 提出方法については、別途メールにてご連絡いたします。 4. プレゼンテーション概要の提出 8月1日(木)〜10月9日(水)10月30日(水) Web上のフォームに400字以内のプレゼンテーション概要と3つのキーワードを入力してください。 5. タイトル等最終決定 10月9日(水)10月30日(水) 10月9日(水)10月30日(水)24時までにWeb上のフォームに入力された内容を、10月10日10月31日以降に確定情報として公開します。なお、この〆切を過ぎてからの確定情報の変更はできません。 6. 口頭発表部門予選からポスター発表部門へのエントリー 口頭発表部門にエントリーした人は、予選の後、ポスター発表部門にエントリーすることができます。 ※以上の各種提出期間は、広報上の事由により延長される場合があります。    

著作権ポリシー

院生プレゼンバトルは、下記の著作権ポリシーに則って運営されます。 ご来場のみなさまへ
    • (著作権の帰属先)院生プレゼンバトルで用いられたプレゼンテーションスライドやポスターの著作権はプレゼンター本人に帰属します。企画中に撮影した写真などの個人範囲外での使用に関しては、必ずTGNを通してプレゼンターにお知らせください。
プレゼンターのみなさまへ
      • (文献引用)関連研究などの成果を院生プレゼンバトルで用いるプレゼンテーションスライドやポスターに引用する場合は、適宜出典を明記してください。
      • (プレゼンテーションへの著作物の使用1)院生プレゼンバトルは大学教育活動の一貫として行われるため、プレゼンターは、著作権法第三十五条に則り、必要と認められる限度において公表された著作物を複製し、プレゼンテーションスライドやポスターなどに使用することができます。
      • (プレゼンテーションへの著作物の使用2)ただし、著作物が使用されたプレゼンテーションをインターネット中継することは、著作権法第三十五条第2項「公衆送信の態様」に抵触するおそれがあるため、行いません。インターネット中継については、別ページの「インターネット配信および個人情報等の取り扱いについて」をご覧ください。
備考
      • (Microsoft Officeのクリップアートの使用)Microsoft Officeがクリップアートとして提供している著作物はOffice製品を使用する範囲内では複製および公衆送信が認められています。
      • (クリエイティブ・コモンズ・ライセンスなどが認められている著作物の使用)また、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスなど、著作者が複製および公衆送信を許諾した著作物については、許諾範囲内で使用することができます。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは 参考: 著作権法(引用) 第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。 2 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。 (学校その他の教育機関における複製等) 第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。 2 公表された著作物については、前項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合には、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

インターネット配信および個人情報等の取り扱い

1.インターネット配信 記録と広報の目的から、TGNが企画中に行われるプレゼンテーションをビデオで撮影して後日公開することがあります(YouTubeを予定)。 また、口頭発表部門本戦では、リアルタイムで会場の様子をインターネット配信(Ustreamを予定)し、動画アーカイブ(YouTubeを予定)を行います。撮影不可のスライドが含まれる場合には、お知らせください。そのスライドを撮影しない、または編集によりカットすることが可能です。 2. 写真撮影 記録と広報の目的から、TGNが企画の様子をカメラで撮影して後日TGNのWebサイトに掲載したり、企画の様子が筑波大学のWebサイトなどに掲載されたりすることがあります。不都合のある場合は、TGNにご相談ください。 3. マイクロブログサービスTwitter上での「つぶやき」 プレゼンターや聴衆の活発なディスカッションを促すために、TGNは、マイクロブログサービスTwitter上での院生プレゼンバトルに関連する「つぶやき」を許可しています。このため、プレゼンテーション内容についての「つぶやき」が投稿されることがあります。TGNは、これらの「つぶやき」にハッシュタグ #presenbattleをつけることを推奨しています。これらのTwitter上の「つぶやき」は、「つぶやき」まとめサービスtogetterによってまとめられることがあります。 参考: 日本語版利用規約 https://twitter.com/tos ご参考までに日本語の翻訳を用意しました。ただし、法的な拘束力があるのは英語版であることをご了承ください。 ユーザーがTwitter上で述べたことは、瞬時に世界中で閲覧可能となります。発言の全ての責任はユーザーにあります。 英語版利用規約 https://twitter.com/tos?lang=en What you say on Twitter may be viewed all around the world instantly. You are what you Tweet! 4. 提出書類等の個人情報の取り扱いについて プレゼンターがTGNに提出する各種の個人情報は、院生プレゼンバトルの運営に関する目的のみに使用されます。提出された個人情報は、TGNによって厳重に管理され、断りなく第三者へ提供されることはありません。

Q&A

Q. プレゼンテーションのスタイルに決まりはありますか? A. いいえ。例えば口頭発表部門では、スライドを使っても使わなくてもかまいません。例えばポスター発表部門では、ポスターは長方形でも長方形でなくてもかまいません。自由な発想で、異分野の方にもわかりやすい、魅力的な研究プレゼンテーションを行ってください。 Q. エントリーできるプレゼンターの学問分野に決まりはありますか? A. いいえ。様々な学問分野からのエントリーを歓迎します。 Q. 資料を配布してもいいですか? A. はい。ただし、プレゼンターの側で必要数を用意してください。 Q. 実験装置などを持ち込んでもいいですか? A. はい。ただし、危険のないように注意を払ってください。判断が難しい場合などは、随時TGNにご相談ください。 Q. マンガなどのキャラクターをプレゼンテーションに使用してもいいですか? A. はい。ただし、著作権の関係から、口頭発表部門本戦のUstreamでの生中継などのインターネット配信ができませんので、事前にTGNにご相談ください。詳しくは「著作権ポリシー」をご覧ください。 Q. エントリーしたが、出場できなくなってしまった。 A. エントリーを辞退される場合は、速やかにTGNにお知らせください。 Q. 指導教員のエントリー許可が得られない。 A. 研究室の意向に反する情報流出を防ぐため、指導教員のエントリー許可はエントリーの条件となっております。 Q. アブストラクトは全員提出する必要がありますか? A. はい。口頭発表部門・ポスター発表部門ともに、アブストラクトのご提出をお願いします。 Q. プレゼンテーションの際の服装は決まっていますか? A. いいえ。ご自身の判断で自由に決めてください。 Q. 以前、院生プレゼンバトルに出場しました。今年も出場できますか? A. はい。昨年よりもパワーアップしたプレゼンテーションを楽しみにしています。

教員プレゼンバトル2013 第六回講義概要

◆丹羽隆介 先生 「母から子へと与えられる栄養の底力〜ショウジョウバエを用いた研究から〜」
[プレゼン発表]_DSC7376 丹羽先生は発生遺伝学を専門に研究なさっている先生です。今回は、母から子へ伝わる遺伝の研究を、ショウジョウバエを例にわかりやすく紹介してくださいました。 生き物の体は、食べ物を食べ、消化し、栄養を吸収し、排出する、というサイクルを必要としています。このサイクルは代謝と呼ばれます。代謝は非常に複雑で、代謝をコントロールしているタンパク質に異常が生じると、重篤な病気を引き起こすケースがあります。そのため、代謝の研究は病気の原因を解明するための足がかりとして期待されています。 丹羽先生は、代謝の研究のモデル生物として、遺伝子がヒトとよく似ている黄色ショウジョウバエに着目しました。ショウジョウバエの発育にはコレステロールの代謝が必要で、コレステロールはNeverlandと呼ばれる酵素によって7−デヒドロコレステロールに変化し、最終的に成長に必要不可欠なステロイドホルモンへ変化します。丹羽先生は、Neverlandが欠乏するとショウジョウバエが成長できなくなることを明らかにしました。Neverlandが欠乏した母親が子供を生んだ場合、生まれた幼虫はNeverlandが欠乏するという情報が伝わってしまい、成長することができなくなってしまいます。 さて、Neverlandを欠乏したまま生まれてきた幼虫はこのまま一生を終えてしまうのでしょうか?この仮説を打破したのは、ずぼらな大学院生でした。その大学院生は、7−デヒドロコレステロールを混ぜたえさを与えたまま、数日ほったらかしにしていたそうです。後で調べてみると、Neverlandが欠乏した幼虫が成長していることが偶然わかりました。この発見を機転にいろいろと調べてみると、Neverlandが欠乏した親にえさを食べさせた場合でも、生まれてきた子供が成長できることが分かりました。これぞまさに「親から子へ伝わる栄養の底力」なのです。 代謝や遺伝の研究はモデル生物で行うことが多いが、得られた知見が必ずしもヒトに当てはあるものではないため、そこをどう解決していくかが大事であるとおっしゃっておりました。今後のご活躍に期待したいですね。   [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. (生物学専攻の大学院生)Neverlandが欠乏したショウジョウバエは、幼少のころ餌を摂取させると成長するということですが、ヒトのコレステロール欠乏症の場合でも同様の効果が期待できるのでしょうか? A. その通りです。一般的な治癒はコレステロールを大量摂取します。しかし、生存期間を延長できても、生体の表現系は変えられません(指が6本になるなど)。また、母体に対してケアする方法もやられていません。なぜなら親は遺伝病を予測できないからです。近年では遺伝子診断で解決できる可能性は高まっています。昆虫の研究が哺乳類に対して反映されるかは未確認です。 Q. (コンピュータサイエンス専攻の大学院生)ショウジョウバエの研究結果をヒトにそのまま当てはめると。ヒトの場合7~8年寿命をのばすことになるとおっしゃっていましたが、本当にそうなるのでしょうか? A. 詳細はまだよくわかっておりません。哺乳類は胎盤から栄養素が伝わりますが、とても特異的に選別されるため、親のコレステロールがそのまま伝わるとは言えません。また、ショウジョウバエの母体から子への栄養の伝搬過程もよくわかっていないのです。現在実験中で今後明らかにしていきたいです。 [種明かしディスカッション] このコーナーは、プレゼン発表の極意や気を付けていることなどを伝授してもらいます。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。  
◆松本末男先生 「「ことばを育てる」~特別支援教育から~」
[プレゼン発表]_DSC7425 松本先生は筑波大学付属学校教育局の先生で、言語指導を専門に研究なさっています。教員プレゼンバトルに参加するために筑波キャンパスまでお越しいただきました。今回は、特別支援教育が必要な子供たちどのように言葉を教えるか、言語教育に関する生のお話をしてくださいました。 耳が聞こえない人にとっての最大の苦悩は、言語を習得するのがものすごく困難になることです。そのため、聴覚障害の人の中でしゃべれない人も多くいます。しかし、現実には聴覚障害者で普通に社会人として働いている人もいます。この差はどこから生まれるのでしょうか?答えは言語教育です。聴覚障害の子供に日本語をきちんとはなせるように教育することで、結果的にコミュニケーションがとれるようになります。 しかし、自閉症の子供へ言語を教えることはもっと厄介です。自閉症の子供は耳が聞こえるが、発言出来ない場合があります。自閉症の子供にコミュニケーションをとらせる術はあるのでしょうか?やはり答えは言語教育にありました。自閉症の子供たちに話し言葉があれば自分の意志表現が可能なことを気づかせてあげることが重要です。そのためにも、周囲の人々が子供の様子を注意深く見てやることが大事であるとおっしゃっていました。 松本さんは聴覚障害や自閉症の子供に言語を教えてきた経験から、その言語教育の方法はどちらも同じなのだと結論づけていました。詳しい内容は割愛させていただきます。最近では障害者への関心が薄まっている傾向にありますが、皆が豊かに暮らせるためにも、障害者への関心は日頃から持っておくべきだと松本さんは強く願っていました。   [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. (人文学専攻の大学院生)聴覚障害や自閉症の子供にとっても話し言葉は大切だとおっしゃっていましたが、松本さんの教えている技術で、どの程度まで話せるようになるのか? A. 以前教えた聴覚障害の子供では、国立大学に在籍し、会社員や教員をしていました。いずれにせよ、聴覚障害者に関しては社会でふつうに過ごせる力は養うことができるでしょう。一方、自閉症の子供は自分の思いをしゃべれるようになる程度で、まだまだノウハウが不足しているのが現状です。 [種明かしディスカッション] このコーナーは、プレゼン発表の極意や気を付けていることなどを伝授してもらいます。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。    
◆土井裕人先生  「宗教思想をいかに捉え、考えるか」
[プレゼン発表]_DSC7481 土井先生は宗教学を専門に研究なさっている先生です。今回は、宗教思想をいかにして捉えるかということに関して、お話ししてくださいました。 研究テーマは西洋古代の宗教思想についてです。そもそも宗教というものに学術性があるのかというところから話は始まり、宗教研究の難しさを訴えていました。しかし、古くから宗教は人間の根幹に関わっているため、その源流を問い直すことに非常に意義があると力説しておりました。まず神に似ることというテーマに基づいたプラトン主義が広まり、そのテーマを魂の乗り物という形で具現化する新プラトン主義が続きました。このような思想は現在まで語り継がれてきましたが、実際はあまり理解されていないのが現状です。土井先生は思想研究にも新展開が必要だと考え、コンピュータを利用して思想を可視化することに挑戦しました。文献をD3.js力学モデルを用いて解析し、得られたマッピングデータで思想を可視化するというものです。しかし、実際にはデータの解釈で議論が絶えず、可視化は非常に難航しているそうです。 土井先生は、宗教学を新しく切り開いていくテクノロジーを開拓していきたいとおっしゃっていました。私を含めほとんどの筑波大生は哲学になじみがないでしょうから、とても新鮮なプレゼンだと感じました。この感覚を毎回味わうことができる授業はおそらく教員プレゼンバトルだけでしょう。   [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. (生物学専攻の教員)思想の視覚化について、作業はテキストベースの言葉を抽出して、その関係を重みづけして、グラフ化するというものです、英文学でやられていることと本質的に一緒だと思います。思想の視覚化と表現されるのは妥当なのか? A. おっしゃる通り、作業は一緒に見えます。しかし、思想研究として見たうえでどう役立たせうるのか、それをやってみたい。   [種明かしディスカッション] このコーナーは、プレゼン発表の極意や気を付けていることなどを伝授してもらいます。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。   (文責:栗之丸隆章)

教員プレゼンバトル2013 第五回講義概要

◆生稲史彦先生 「開発生産性のディレンマ」
_DSC7208 [プレゼン発表] 生稲先生は経営学の専門家です。今回は、生稲先生が取り組んでこられた、ゲームソフト企業を対象とした研究についてプレゼン発表をされました。 生稲先生が学生だった頃は、ちょうどテレビゲームが盛んになり出した時代で、生稲先生も、多くの男子学生と同様、テレビゲームにすっかりはまっていたそうです。ゲームを始めた頃は、次々と販売される新作に深い感動を覚えていたそうですが、だんだんと新作に対する新規性や、魅力を感じなくなり、遂にはつまらないと思うようになったそうです。そのため、「なぜ本当に新しいものが開発されなくなったのだろうか?」という疑問を生稲先生は持ちました。そして、この素朴な疑問を経営学の視点で解き明かそう、と思ったのが研究の出発点だそうです。 研究に着手しはじめ頃は、経営学の分野で既に確立しているメジャーな考え方を、そのままゲームソフト企業に当てはめる、という研究スタイルだったそうです。「知識こそが価値の源泉である」という、経営学のメジャーな考え方によれば、開発ノウハウを蓄積していくことこそが、ゲームソフト企業が競争優位を生み出すためのマネジメント法であることが結論されます。 しかし、「本当にそうなのか?」、と生稲先生は思ったそうです。確かに、経営学のメジャーな考え方(cool heads)からすれば、開発ノウハウの蓄積は企業にとって良いマネジメント法かもしれない。しかし実際には、「ゲームがつまらなくなった」、という個人的で確かな感覚(warm hearts)がある。そこで、cool headsではなくwarm heartsを優先し、そもそも経営学のメジャーな考え方を疑ってみる、という方向で研究を仕切り直したそうです。 そして新たに、「イノベーション」という視点で研究を見つめ直し、公刊資料や企業から得られたデータの収集など、地道な実証研究を展開され、遂にたどり着いたのが、「開発生産性のディレンマ」という考え方です。 「開発生産性のディレンマ」とは、開発ノウハウの蓄積を進めていくと、開発活動の効率化と同時に、類似性を優先する戦略に偏重してしまい、「新しいなにか」を創りだすことができなくなってしまう現象だと、生稲先生は言います。企業における開発ノウハウの蓄積なくしては、企業たり得ないことは確かですが、皮肉なことに、その開発ノウハウの蓄積が将来の可能性を狭めてしまうことを、このディレンマは主張します。 十数年かけて構築した理論を、わずか15分のプレゼンで発表するという、(生稲先生曰く)「無理な」発表でしたが、研究内容に対する自信に満ちた一語一句や、力強い身振り手振りから、十数年の研究の重みが十分に伝わってきました。そして、「cool heads」や「warm hearts」など、こだわって選び抜かれたフレーズが、プレゼンの魅力を引き立てており、自身がおっしゃる通り、生稲先生のプレゼンは正に、「総合芸(術)」でした。   [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. 私は一人のゲームファンとして、最近の日本のゲームソフトに新しさを感じない。日本のゲームソフト業界が、世界を驚かせるような、新しいものを開発できる見込みはあるか。(生命環境科学研究科の大学院生) A. 私の理論に照らし合わせて言うと、新しいものが開発されるためには、企業間の競争ではなく、ゲームソフト業界への他の分野からの参入が必要だと思う。そのためには、ニューカマーを受け入れるような、業界のオープンネスが今後必要になると思う。     [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。    
◆北将樹先生 「哺乳類の持つ毒の科学」
_DSC7262 [プレゼン発表] 北先生は、有機化学が専門の先生です。生物の持つ毒を有機化学の視点で研究しています。 ハチ、サソリ、フグなどは毒を持つ生き物の代表格ですが、哺乳類にも毒を持つ生き物がいるそうです。それが北先生の研究対象である、トガリネズミの仲間とカモノハシです。 トガリネズミは、主に夜行性でミミズや昆虫を主食にしているかわいらしい動物です。しかし、愛くるしい姿形に似つかわしくなく、唾液に毒が含まれていることが報告されていました。 一言に毒と言っても、その正体は、低分子やタンパク質など様々で、より詳細を知るためには、化学物質として毒を単離し、分子構造を明らかにすることが必要になります。このことこそが、北先生が得意とする、有機化学の出番です。北先生は世界で初めて哺乳類の毒成分の構造を明らかにした、この分野の第一線の研究者です。 化学者の研究現場は、実験室だというイメージがありますが、北先生は実験室だけに留まらず、生態学者とタッグを組んでフィールドに出かけます。今回、日本とキューバの共同研究プロジェクトにより、「ソレノドン」という生態の分かっていない未知の生き物の捕獲と唾液の採取を目指し、キューバまで行かれました。ほとんどソレノドンに関する情報の無い中、遂にソレノドンの個体の捕獲と唾液の採集に成功し、大きな話題となりました。現在このプロジェクトは、得られた唾液から、毒の構造を解析中だそうです。 北先生は、タンパク質の話から、ソレノドンのかわいらしい行動の動画まで、緩急をつけたプレゼンで観客を魅了しました。また、ミクロな分子構造の化学の話から、動物行動、さらには化石や進化の話まで、様々なスケールの科学が毒というキーワードの下に凝集しており、非常に学際的な研究であることが印象に残りました。     [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. 北先生の研究は、医療関係に役立つのでは? A. 新規な毒の化学的な解明は、薬理学や、神経学などの基礎研究に寄与し、さらには、痛みに関する創薬にも繋がる。 Q. 毒を持っている動物が、自分の毒が効かないのはなぜか? A. タンパク毒は、自分自身の毒が血液中に入ってしまわないようになっている。逆に血液中に入ってしまえば死んでしまう。トガリネズミが共食いする際、相手の毒で死んでしまうこともある。     [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。    
◆手塚太郎先生  「疎性に基づく情報処理」
_DSC7294 [プレゼン発表] 手塚先生は図書館情報メディア系の先生です。あの有名な、「やってみよう研究所」の所長でもあります。今回は、コンピュータサイエンスの世界で話題となっている、「疎性に基づく情報処理」について発表されました。 コンピュータサイエンスの究極の目標は、コンピュータに人間と同じ思考をさせることだと手塚先生は言います。そのため、人間を含めた生物の情報処理の仕組みが解明されると、その仕組みがコンピュータサイエンスに応用されることが多いそうです。「物事を認識する」、という一見コンピュータにとって複雑で困難な課題も、生物がやっている方法から学びとることで、克服することができます。その一つの例が、生物の神経系における「疎性」と呼ばれる性質の、コンピュータの情報処理への応用です。 手塚先生はまず、生物が物事を認識する際の、神経系の仕組みを非常に明快に説明されました。我々生物の脳の中には、ネットワークで繋がった沢山の神経細胞が存在しています。ある一つの認識に対する情報処理過程には、これらのネットワーク中の“数多く”の神経細胞が関与していると想像できるでしょう。しかし実際には、“少数の”(疎らな)神経細胞だけが活動しているそうです。これが「疎性」と呼ばれる性質です。このように、神経系が「疎性」的な活動をするメリットは、蓄えられる情報量の増加や、省エネ等が考えられるそうです。 そしてこの「疎性」的な仕組みを、コンピュータの情報処理に応用することができます。 例として、コンピュータによる画像処理を紹介されました。コンピュータで扱うデジタル画像を、数学のベクトルで表現します。その際に、多くのベクトル成分がゼロとなるように情報を扱うことで、生物系でみられる「疎性」な情報処理が可能になります。このことが、膨大なデータを処理する際に、計算コストを下げることが可能になるそうです。 手塚先生は、テンポよくリズミカルな発表をされ、話の流れが非常に明快でした。また、誰よりも楽しそうに発表されるため、研究のおもしろさが存分に伝わってきました。     [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. 手塚先生は、「人間の脳とコンピュータは同じである」というが、同じリンゴであっても、鮮度の違いなど、それぞれの質感みたいなものがあるので、こういった感覚はコンピュータでは捉えられないと思う。つまり、人間の脳をコンピュータで再現することは難しいのでは。(教育学専攻の大学院生) A. それは単に、コンピュータが質感を学習できていないからである。学習させることができれば、リンゴの鮮度も判断できると思う。赤ちゃんも生まれていきなり「おばあちゃん」を認識するわけではない。 Q. しかし、人間の脳には個人差みたいなものもあるので、これらはコンピュータで捉えられないのでは。(教育学専攻の大学院生) A. 最近インターネット上で学習する人工知能が開発されている。この方法なら、非常に多くのことを学習可能であるので、コンピュータが質感や、個人差みたいなものも理解する日が来るかもしれない。   人間の脳VSコンピュータ、というとても刺激的な討論になりました。 この議論に関する手塚先生の立場がhttp://yattemiyou.net/archive/machines.htmlに代弁されていると思いますのでこちらもご覧下さい。     [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。   (文責:尾澤岬)

教員プレゼンバトル2013 第四回講義概要

◆中園長新先生 『 「いま」を生きるための情報教育 』
_DSC6639 [プレゼン発表] 中園先生は、教育学域で「情報教育」に関する研究をしている先生です。正確には教員という立場ではありませんが、TGN独自の学内調査で、非常にアクティブな方であるという情報を受け、この度プレゼンターをお願いしました。 情報教育と聞くと、中高生時代に受けたエクセルやパワーポイントなどの実習を思い出す人が多いと思います。しかしながら、パソコン操作の実習が情報教育の現場で主要なテーマとなっているのは、現代だからに過ぎない、と中園先生は言います。パソコンの全く無かった戦国時代であれば、のろしの回数を数えることが情報教育の重要な役目かもしれません。このように、パソコン・ケータイなどの機器の使い方や、現代という時代を離れて存在する、情報教育の本質について中園先生は模索されています。 では一体、情報教育の本質とは何でしょうか?それは、コミュニケーションに行きつくのではないか、と中園先生は考えているそうです。このことを、次の巧みな例えで説明されました。 カップ麺の作り方を初心者に教えたいとします。すると多くの人が、1. お湯を沸かす、2. フタを開ける、3. お湯を注ぐ、4. ・・・。というように作り方を伝えると思います。しかしながら実際には、フタを開ける前にビニールをはがすことが必要です。また、ラーメン系または焼きそば系であるかによって、ソースを入れる順番が重要になってきます。この例から分かるように、現実にやり取りされる情報には多くの「行間」が存在します。情報過多と言われる現代ですが、生きていくためにはこの行間を読み取る能力が必要とされます。そして、この能力を鍛えることが情報教育の重要な役目ではないかと提案されました。 中園先生は、今年度のプレゼンターの方々の中では抜群に若く、エネルギッシュな発表をされました。特にカップ麺の件では、会場にカップ麺を持参し、ビニールを破るアクションをされたことが、非常に印象に残りました。情報がデジタルに伝えられることが多い中で、実世界に実物を導入して伝えることに、大いにリアリティを感じました。仮想世界の台頭で見失われがちな情報教育の本質を、ある種体現しているようなプレゼンでした。 また中園先生は、プレゼンの補足を先生自身のホームページに掲載してくださっているようです。こちらもご覧ください。http://zono.e4serv.net/weblog/ [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. なぜ現状では、高校などでの情報教育は、パワーポイントやエクセルの使い方を教えるといったパソコン教室化してしまっているのか。(畜産を専門に研究している大学院生) A. このようなありきたりの情報教育になってしまっている理由は二つある。一つは、教える側の専門性にある。情報教育について専門的な指導ができる高校教員は少ない。もう一つは、実社会で即戦力となる人材を育成することが要求されているため、実社会で役立つパソコンスキルの習得が早急に望まれているからだと思われる。 Q. とは言うものの、個人的には高校でのパソコン教育は非常に役に立っている。それを変える理由はあるか。(植物育種を専門とする大学院生) A. パソコンスキルだけでなく、情報化社会が持つ闇の部分も知る必要があると思う。例えば、なぜfacebookが無料であるか、といった知識も今後生きていく上で必要であると思う。 [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。
◆金久保利之先生 『 コンクリート構造物の地震被害とその対策 』
_DSC6704 [プレゼン発表] 金久保先生は、コンクリートの構造や強度に関する研究を専門にされています。近年の地震による建物の被害を受け、今後の地震に対する備えはますます重要になってきています。そんな中で、今注目されている金久保先生にプレゼンをお願いしました。 まず金久保先生は、東日本大震災で倒壊した建物の写真を紹介されました。メリハリの利いた文字だけのスライドで発表された中園先生とは対照的に、写真中心の構成で話を展開されました。完全に潰れてしまった日本家屋や、天井がごっそり落ちてしまった体育館が、地震に対する建物の脆弱性を物語っていました。東日本大震災では、原子力や津波による被害が大きく取り上げられていますが、ここ茨城県では、地震の揺れによる建物への直接的なダメージが主要な被害の形態だそうです。今後も油断できない大地震への備えとして、地震の揺れに耐えることのできる建物が望まれます。 ところで、そもそも建物が壊れるのはどうしてでしょうか。金久保先生は、原点に立ち返った疑問を聴衆に投げかけました。率直に考えると、「建物の強度を地震の強さが上回ったから」、と結論したくなります。実は、「重力」の影響が大きいそうです。このことを、円柱とおもりでできた模式図を用いて説明されました。地面に立てた細長い円柱の先に、おもりをバランスよく乗せます。いざ地震が来て横揺れが起こると、円柱はたわみます。するとおもりに働く重力を支えきれなり、倒壊します。重力が建物に与える影響は、非常に複雑なメカニズムのようですが、単純化された模式図を導入したことで、大づかみに理解することができました。 プレゼンの最後に、金久保先生の実際の研究タイトル「鉄筋コンクリート構造の耐荷性状と変形性能」を宣言されて発表は終わりました。つまり、金久保先生は、自身の研究内容には触れず、発表の15分を全てイントロに割り当てました。金久保先生曰く、「発表タイトルが理解してもらえれば充分」、とのことです。このプレゼン構成には驚きましたが、質疑応答の際に受講生から踏み込んだ質問が数多く出ました。つまり、「掴み」は大成功だったようです。異分野向けのプレゼンの場で、聴衆とのインタラクションを活発にするには、今回の金久保先生のようなスタイルが有効ではないでしょうか。 [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. 今回の地震で、実家の建物が倒壊してしまった。原因は地盤沈下だったようだ。もうこのような経験はしたくないので、将来土地を買う時の指針のようなものを教えてほしい。(システム情報工学研究科の大学院生) 過去に川・沼・池であった土地は液状化現象が起きやすい。地名に川や池が付く場所は昔そうであった場合が多い。より詳しく調べたい場合は、国土地理院に行って昔の地図を調べればよい。 [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。
◆三谷純先生 『 コンピュータが拓く新時代の折り紙設計 』
_DSC6749 [プレゼン発表] 三谷先生は、コンピュータグラフィックスが専門の先生です。今回の発表では、コンピュータによる折り紙の設計についてプレゼンして頂きました。私たち日本人にとってなじみ深い折り紙ですが、その歴史は古く、1797年には折り鶴の様々なバリエーションをまとめた文献が刊行されているそうです。このような伝統ある折り紙と、コンピュータの接点はどこにあるのでしょうか。 折り鶴を、もう一度平坦な紙に展開してみましょう。すると、山・谷の折れ線によってできた複雑な幾何学模様が見えます。そして再度、山・谷の線に従って折り込むと、さきほどと全く同じ折り鶴が再現できます。つまり、折り鶴と山・谷の折れ線の幾何学的パターンは一対一に対応します。そして、このような幾何学的なパターンの処理はコンピュータが得意とするところです。ここが折り紙とコンピュータの接点のようです。誰もが驚くような、複雑で美しい構造を折るのは、折り紙の熟練者でないとなかなか折れません。そこで三谷先生は、誰でも簡単に複雑で美しい立体的構造を折ることができる折り紙ソフトウェアを開発しました。プレゼン発表では、ソフトウェアの実演と、完成した実物を披露されました。このようなコンピュータを駆使した折り紙設計では、一見難しい曲面的な構造さえ折ることができるそうです。 以上の折り紙研究の反響は大きく、ファッションショーで使用されたり、数学の教科書の表紙にも採用されたそうです。また、「ものをコンパクトに畳む」という応用性が人工衛星のソーラーパネルをはじめ、多くの分野で注目されているそうです。 三谷先生は、研究内容もさることながら、流れるような口調から圧巻のプレゼンを披露されました。プレゼンスライドは、「最初と最後が一番見られる」という考えから、最初のスライドにtwitterのアカウント「@jmitani」を表示されていました。今回のプレゼンバトルを機にフォロワーを30人くらい増やしたいとのことです。みなさんもフォローしてみてはどうでしょうか。 [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. 折り紙の世界では、紙を切るのは御法度か?(構造エネルギー専攻の教員) A. 折り紙の定義はいろいろあって、研究者によってまちまちだが、私は切らない流儀で研究している。しかし一方で、紙のかたちは自由に選んでいる。 Q. そのように折り紙の定義が様々だと、定義によって性質に違いが表れそうだ。(構造エネルギー専攻の教員) A. その通りだ。例えば、切り目を入れる/入れないの流儀の違いで、応用性が変わってくる。防塵カバーの折り方をデザインしたい場合、切り目を入れない流儀でデザインしないといけない。 [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。