口頭発表部門
口頭発表予選アブストラクトPDF)
(口頭発表予選プログラム(PDF)もご参照ください。
発表者: 庄司 秀亮
所属: 生命環境科学研究科 生命共存科学専攻 博士一貫性課程1年
指導教員: 鈴木 石根
キーワード:藻類、資源、エネルギー
バイオ燃料の原料はトウモロコシやアブラヤシなど様々であるが、特に藻類が着目されている。藻類からは石油に代わるエネルギーを得られるだけでなく、DHAや化粧品の原料となるスクアレンなど、多様な有用物質を得ることができる。これらの物質生産に関して研究室レベルでは行われているが、商業化・工業化に向けた大規模な生産は発展途上である。今回は、多彩な物質の資源となる藻類の魅力を交えて、藻類を大量培養することの重要性及び私の研究を説明する。
発表者: 石神 健太
所属: 数理物質科学研究科 物理学専攻 博士前期課程2年
指導教員: 川本 徹
キーワード:セシウム、プルシアンブルー、ナノ粒子
2011年3月11日に発生した東日本大震災により、東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きた。この事故で発生した放射性セシウムを、どのようにして回収するかが現在日本の大きな課題となっている。青色顔料「プルシアンブルー」は、優れたセシウム吸着能力を持つ。つまり、少ない顔料で多くのセシウムを吸着することができる。この顔料は液状、固形など様々な形態でセシウムを吸着することができる。プルシアンブルーは安価に大量に合成することができる。また、この顔料を使った様々な形態のセシウム吸着材が検討されている。本発表では、青色顔料プルシアンブルーの紹介をし、そのセシウム吸着能力についても紹介する。
発表者: 大串 智美
所属: 図書館情報メディア研究科 図書館情報メディア専攻 博士前期課程1年
指導教員: 金 尚泰
キーワード:路線図、地図、情報デザイン、ダイアグラム
地下鉄路線図の多くは、駅間距離や路線の曲折などの物理的な位置情報を省略し、限られた角度の線を用いて乗り換え駅を強調している。線や点などの図記号を用いたグラフィックな表現は、誰でも直感的に理解することができる。しかし、この表現方法では、人に間違った解釈をさせてしまうことがある。実際に、東京地下鉄路線図を使って最短経路を選択させる実験を行ったところ、路線図上の距離が短いものを選択する傾向がみられた。また、路線図上で短い距離であっても、実際の距離が長く、時間のかかる経路である場合も存在すると分かった。分かっているのに気づかない、路線図のどこかに潜む時間どろぼうに関する調査結果を報告する。
発表者: 阿部 貴晃
所属: 生命環境科学研究科 生物科学専攻 博士前期課程1年
指導教員: 沼田 治
キーワード:発生、進化、コウモリ
現在、地球上の様々な環境に進出し、繁栄している哺乳類の中でも、コウモリはその種数において二番目に大きなグループである。彼らの繁栄は空を飛ぶ能力、すなわち飛翔能力の獲得によって説明されるが、彼らがどのようにして翼を獲得したのか、その進化の道筋は未だ明らかとなっていない。本研究は、生き物の形づくりの分野である発生学の視点から、その進化に迫る。今回のプレゼンでは、これまでの研究からわかってきたコウモリの「翼づくり」を紹介し、彼らの進化の過程を推察する。
発表者: 東野 亮太
所属: 人間総合科学研究科 体育学専攻 博士前期課程2年
指導教員: 前田 清司
キーワード:心疾患、生活習慣改善、血圧の過大・過小評価
心臓を出てすぐの血圧(大動脈起始部の血圧、すなわち中心血圧)は一般的な上腕血圧よりも心血管疾患と強く関連している。上腕血圧が同じにも関わらず、中心血圧が低い群は高い群と比較して、心血管疾患発症が少ないことが明らかにされている。一方で肥満は心血管疾患の危険因子とされている。肥満者における減量は心血管疾患の予防に有効であると言われている。しかしながら、生活の中で健康維持の為に行う運動習慣、食習慣の改善により上腕血圧は低下するが、中心血圧は低下しづらいと報告されている。つまり、これらの効果を上腕血圧での評価は過大評価につながる。これらを踏まえ、肥満者の減量効果と新たな高血圧概念についてお伝えします。
発表者: 中島 淳志
所属: 生命環境科学研究科 生物科学専攻 博士前期課程2年
指導教員: 出川 洋介
キーワード:菌類学、未記載種、スクリーニング
菌類(きのこやカビ)は、実は私たちの身近にいるにもかかわらず、分からないことだらけの生き物だ。毎年千種以上もの新種が発表されており、まだ人類は地球上の全菌類の1割も把握していないともいわれる。その中には、未知の有用物質を産生したり、未知の利用価値を持っていたりする菌もあるだろう。「カビハンター」としてあちこちから菌類を捕まえる私の研究は、まさに未知との遭遇である。似たような仕事をしている人は他にもいるが、私は特に、菌類が一般に持っているある性質に注目して、それに基づいたハンティングを行うとともに、その性質の根本的な原理を解明することに挑戦している。最近私が見つけた新種のカビを例にご紹介しよう。
発表者: 出口 啓太
所属: 数理物質科学研究科 物質・材料工学専攻 博士後期課程2年
指導教員: 高野 義彦
キーワード:お酒、超伝導、新超伝導体開発
私たちは「お酒が誘発する超伝導」に関して研究を行なっています。超伝導体は次世代交通手段とされるリニアモーターカーや、最新医療には欠かせないMRIなどに用いられるものです。一方、お酒はご存知の通り百薬の長とも呼ばれ、社交性を保つ道具として古来より親しまれてきたものです。一見、これらには何の関係性も無いように思えますが、最近の研究から意外な繋がりを見出しました。本発表では「お酒が誘発する超伝導って何のこと?」、「そもそもなんで超伝導とお酒を結びつけたの?」、「お酒がどういう働きをしているの?」に関して、丁寧に説明したいと思います。
発表者: 提 達朗
所属: システム情報工学研究科 リスク工学専攻 博士前期課程1年
指導教員: 内山 洋司
キーワード:ライフサイクルアセスメント(LCA)、エコ、燃料電池自動車(FCV)
ライフサイクルアセスメント(LCA)とは製品や技術の環境診断に有効なシステム分析方法である。ライフサイクルアセスメントを用いることにより、対象となる製品や技術の資源採掘から輸送、製造、利用、リサイクル、廃棄にわたるライフサイクル全体、所謂"ゆりかごから墓場まで"の資源消費や環境負荷を定量的に分析することが可能となる。本プレゼンでは次世代のエコカーとして注目されている燃料電池自動車(FCV)を例に挙げ、ライフサイクルアセスメントを用いたシステム分析の方法と、その意義について説明する。さぁ、みんなで「本当のエコ」について分析してみましょう。
発表者: 長谷川 孔明
所属: システム情報工学研究科知能機能システム専攻 博士後期課程1年
指導教員: 中内 靖
キーワード:遠隔コミュニケーションロボット、身ぶり、発話衝突
本研究は離れた人と会話する際に、自身の代わりとなるロボットを通して存在感や身ぶりを伝えることにより、直接会った時のように会話できるシステムの開発を目標としている。現在普及している電話やビデオチャットでは、次に誰が話し出すのか分からず同時に話し始めてしまう発話衝突という問題が起こりやすい。映像で相手の姿が見えるにもかかわらず話し出すタイミングが分からないのは、「2次元的で存在感が希薄になること」と「話し出しの予兆となる身ぶりが伝わりにくいこと」が原因と考えられる。本研究では、3次元的な実体をもつロボットを用いて話し出しの予兆となる身ぶりを伝えるシステムの提案と評価を行った。
発表者: 田中 みさよ
所属: 人間総合科学研究科 芸術専攻 博士前期課程1年
指導教員: 國安 考昌
キーワード:アート、道や公園や駅前などの場所、小ささ
美術館や音楽ホールなどに行かないと、生の美術や音楽には触れられないのでしょうか? 例えば私たちがふだん使っている通り道、駅前、公園など。そこでもストリートライブや誰かが残した落書きなど、ある種の”表現活動”が展開されています。芸術の正道とは少し外れるかもしれませんが、そこに積極的な意味を見出すことから広がる可能性があるんじゃないかと思いました。
発表者: 池松 俊哉
所属: 生命環境科学研究科 生物資源科学専攻 博士前期課程2年
指導教員: 江面 浩
キーワード:ミラクリン、ダイエット、糖尿病治療
ミラクルフルーツに含まれる「ミラクリン」は、酸味を甘味に感じさせる作用がある。そのため、ミラクルフルーツを食べた後にレモンなどのすっぱいものを食べると、面白いほどに甘く感じる!この作用を利用して、「ダイエット」や「糖尿病治療」への利用が期待されている。しかし、ミラクルフルーツは熱帯原産で、日本での栽培が困難なため、あまり普及していない。また、価格も2~3cmの1粒で約300円と非常に高価である。そこで、栽培の容易なトマトに「ミラクリン」遺伝子を導入し、トマトでの「ミラクリン」生産を試みた。この「ミラクルトマト」で「ミラクリン」の生産性を高め、普段の食生活や治療でより身近に利用できるようにしたい。
発表者: 横山 拓郎
所属: 数理物質科学研究科 電子・物理工学専攻 博士後期課程1年
指導教員: 市村 真
キーワード:エネルギー、プラズマ、核融合
これから先の未来、人類はどんなエネルギーをつかって生活するのでしょうか。太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギー、それとも化石燃料や原子力(核分裂)を使い続けるのでしょうか。未来のエネルギーの選択肢となるべく、地上に人工の太陽をつくる研究が進められています。太陽のエネルギーは、水素がヘリウムに変わる反応である“核融合”によって生み出されています。この“核融合”を人工的に実現するには、燃料の加熱や閉じ込め、高温にも耐えられる材料の開発など、様々な課題をクリアしなければなりません。そのひとつの課題、燃料を数億度に加熱する研究について紹介します。
発表者: 山本 晃平
所属: 数理物質科学研究科 電子・物理工学専攻 博士後期課程2年
指導教員: 小林 伸彦
キーワード:応用物理、ナノエレクトロニクス、量子力学
便利さは電気回路がもたらしている。電気回路が人間の代わりに複雑な作業を行うので、私達はボタンひとつでメールを送り、電話し、洗濯し、優秀な医療機器による治療を受けられるのである。今や電気回路の発展は人類の繁栄に直結している。しかし現在、この発展が回路の発熱という大きな問題によって妨げられている。回路がこのまま微細化を続ければ、回路は太陽ほどの熱さになると言われている。放熱させようとしても微細化された配線の熱伝導度は従来の計算法では予測できない。そこで私は配線を原子の集まりとして考え、その振動の様子を精密に計算することで配線の熱伝導度を導くことに成功した。これによって人類は放熱への足掛かりを得た。
発表者: 藤嶋 教彰
所属: システム工学研究科 知能機能システム専攻 博士後期課程1年
指導教員: 星野 聖
キーワード:爪検出、分布密度、2段階探索
手画像から手の形状を推定するシステムの持つ課題は、指の情報を取得する技術の向上である。ここで着目したのが爪情報であり、様々な手画像から爪を検出する技術が必要と考えた。しかし、従来技術は爪と似た色を持つ掌が写る大部分の手画像で使用できなかった。我々は爪と誤抽出する肌の周辺で特に爪特有の色を持つ画素を抽出すると、画像上の分布密度に差が生まれる、という性質が爪の判定に利用できることを発見した。本研究では色情報で爪の可能性のある領域を抽出し、その後爪かどうか判定する2段階探索で爪を検出するシステムを構築した。検出精度は3名の手において回旋角度±40度から±90度の広範囲で80%以上の検出率となった。
発表者: 鈴木 春香
所属: 生命環境科学研究科 地球科学専攻 博士前期課程2年
指導教員: 田林 明
キーワード:筑波研究学園都市、賃貸住宅、居住地選択
筑波研究学園都市の賃貸住宅開発から見た土地利用変化と、賃貸住宅分布の変化、居住者の属性を分析することで、筑波研究学園都市の性格と地域差を明らかにする。対象地域として筑波大学周辺地域(花畑~竹園)を取り上げ、賃貸住宅が作られた時期、構造、家賃などを、歴史を追いながら調査を行った。具体的な方法として、土地利用調査、住人への聞き取り調査、データ調査を行い、賃貸住宅集中地域を3つに分けて考察を行った。その結果、筑波大学開学などをきっかけとして賃貸住宅の数が現在まで増加したことと、地域ごとに賃貸住宅の構造や家賃が異なるために、住人の賃貸住宅の選択理由や家族構成などに違いがみられることが分かった。
発表者: 瀧渕 岳
所属: 生命環境科学研究科生物科学 生物科学専攻 博士前期課程1年
指導教員: 林 純一
キーワード:ミトコンドリア、がん
ミトコンドリアは、糖と酸素を用いて生命の維持に必要なエネルギー (ATP) を産生する細胞小器官である。ミトコンドリアとがんの関係については、昔から様々な仮説が提唱・議論されている。例えば、多くのがん細胞が酸素の有無に関わらず、エネルギー代謝を解糖系に依存している、という事実は、正常細胞がミトコンドリアの機能不全を起こした結果、がん化しているからではないのか、といった具合である。だが、正常細胞のがん化とミトコンドリアについては、当研究室が斬新な手法を用いて、その関係を否定した。しかし、ミトコンドリアとがんはやはり様々な面で関与している。本研究では、がん研究における新しい視点からの知見を提供する。
発表者: 玉利 泰成
所属: 数理物質科学研究科 物性・分子工学専攻 博士前期課程1年
指導教員: 宮崎 修一、金 熙榮
キーワード:形状記憶効果と超弾性、マルテンサイト相、ヒステリシスとエネルギー効率
金属を一度変形させてしまうと、無理矢理戻さない限り元には戻らない。しかし、形状記憶合金はただ加熱するだけで何度も同じ形に戻すことができる。複雑で大きな機械を作らずとも、加熱というスイッチだけで大きな動きと力が得られるのは魅力的である。しかし、現在活躍している形状記憶合金にも、変形時に加えたエネルギーの一部を形状回復時に損失してしまうという欠点がある。これを少なくできれば、エネルギー効率良く使えることになる。例えば、高効率の形状記憶合金で自動車の車輪を回せば、エネルギー問題の解決にも繋がるかもしれない。本研究では、実用されている物に対してエネルギー損失が半分以下の合金開発に成功した。
発表者: 石原 慎矢
所属: 生命環境科学研究科 生物資源科学専攻 博士後期課程3年
指導教員: 田島 淳史
キーワード:野生動物保全、タマラオ、糞DNA
タマラオ (学名; Bubalus mindorensis)はフィリピンのミンドロ島にのみ生息する小型水牛である。現在、IUCNによって最も絶滅の危険性が高い近絶滅種に指定されている。本研究では、タマラオの生態情報を明らかにするため1)個体数および行動習性の調査、2)糞DNAを用いた解析を行った。 1)2006〜2011年にタマラオの生息域であるイグリットバコ国立公園で調査を行った。全体の個体数は234〜314頭であり、非常に少ないものの個体数は安定していた。全体の10%が単独であり、90%が2〜12頭の群れを形成していた。2)糞DNAからタマラオDNAが検出され、近年タマラオの存在が確認されていなかったアルヤン山におけるタマラオの存在が明らかになった。
発表者: 廣瀬 真輝
所属: システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻 博士前期課程2年
指導教員: 三谷 純
キーワード:コンピュータグラフィクス、スフェリコン、形状デザイン
コンピュータの力を借りて、人間だけではつくることが難しいものを簡単にデザインする手法を、スフェリコンという立体に注目して考案し、プログラムを作成しました。プログラムを用いてデザインした形状は、3Dプリンタで出力することで実際に手にとることができます。
発表者: 竹中 淳
所属: 人文社会科学研究科 国際地域研究専攻 修士課程1年
指導教員: 佐藤 貢悦
キーワード:人間、儒教、陰陽
今日、人類は瀬戸際にいる。あらゆる意味で、人類をかつて人類たらしめていた基本的な諸条件が破壊可能になってしまった。原爆、遺伝子工学、長寿医療、温暖化、人口爆発、バーチャル・ワールド、いずれをとっても、近い未来に、人類という種族は消滅するか、あるいは大きな本質的変化を被る可能性が高い。 その背景には、人間を個人として家族や社会、自然などその背景から切り離し、相対立するものと認識する視点がある。西欧古代に端を発するアトム的人間観がその土台となっている。儒教は、親子の遺伝的つながりを軸として、人間の自己を他者から切り離すのではなく、むしろ適切に拡張していく視点を与える。陰陽的人間とは、人間を一つの場として周囲との絶えず干渉し合う一つの現象として捉える。
発表者: 佐々木 陽香
所属: 生命環境科学研究科生物科学 生物科学専攻 博士前期課程1年
指導教員: 笹倉 靖徳
キーワード:カタユウレイボヤ、共通祖先、中枢神経系
ホヤという生き物をご存知でしょうか? ホヤは私たち脊椎(セキツイ)動物に最も近い無脊椎(ムセキツイ)動物です。脊椎動物とホヤが共通に持つ特徴は、共通の祖先から受け継いだものだと考えられます。そのためホヤには脊椎動物の祖先を知るヒントが隠れています。なかでも神経系をつくる遺伝子の働きは、脊椎動物の複雑な神経系を知る上でも重要なものです。ホヤは子どもから大人になるために変態という大胆なからだの作り変えをします。ホヤの神経系は変態によってどのように変化するのでしょうか? 見えてきたのは神経系をつくる細胞の新たな機能でした。へんないきもの、ホヤ。海やスーパーマーケットに行ったらぜひ探してみてください。
発表者: 高橋 宏達
所属: 数理物質科学研究科 物性・分子工学専攻 博士前期課程2年
指導教員: 神原 貴樹
キーワード:有機薄膜太陽電池、近赤外吸収、温和な反応条件
都合により Web 上でのアブストラクトは公開いたしません
発表者: 吉田 光男
所属: システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻 博士後期課程2年
指導教員: 山本 幹雄
キーワード:情報検索、ウェブ工学、自然言語処理
現在、ウェブ検索エンジンは、ウェブ上のコンテンツ急増に伴い、インターネットを利用する際に欠かせないサービスとなりました。しかし、ウェブ検索エンジンの性能はまだ十分ではありません。その原因の一つは、ウェブページの中のコンテンツ(主要部分)が特定できていないからです。最近のウェブページには、広告や参考情報など、コンテンツ以外の部分が多いため、ウェブ検索エンジンに対するノイズとなっています。発表者は、ウェブページの特定部分が、他のウェブページでどのように出現するかに着目し、全自動、高精度なコンテンツ抽出手法を開発しました。本発表では、発表者が開発したコンテンツ抽出手法と、その応用例を紹介します。
ポスター発表部門
ポスター発表アブストラクト(PDF)
発表者:小林 彰人 所属:システム情報工学研究科 知能機能システム専攻 博士前期課程1年 指導教員:水谷 孝一
キーワード:計測、食品、電気
本研究での目的は食肉の加熱過程における物性変化をモニタリングすることである。近年、オーブンレンジやIH調理器具など高精度な温度制御を生かした調理の自動化が進められており、対象の物性を計測する必要がある。しかし従来技術では温度のみの計測のため物性変化の評価が困難であった。そこで対象に交流電流を印加することで物性の推測が可能な電気インピーダンス法の適用を試みる。本実験より食肉の加熱過程において電気インピーダンス特性の変化が見られたことから、加熱調理における物性モニタリングに用いることができる可能性が見出された。
発表者:関口 大介 所属:システム情報工学研究科 リスク工学専攻 博士前期課程1年 指導教員:岡島 敬一
キーワード:太陽光発電システム、故障診断、電圧
近年、太陽光発電システムの普及が急速に進んでいる。モジュールやストリング等の発電を担う設備と、電力を制御、変換するパワーコンディショナによって構成されており、発電時に機械的な動作がないことからメンテナンスフリーであると言われている。しかし、実際に長期曝露されたモジュールにおいて数多くの故障や不具合が報告されており、簡易的な故障診断方法の確立が求められている。そこで本研究では、ストリングの動作点に応じた各モジュールの電圧測定によってモジュール故障を運用段階で検出する手法を提案する。この故障診断法の有効性を検討するため、モジュール故障を想定した電圧の挙動に関するシミュレーションを行った。
発表者:田中 みさよ 所属:人間総合科学研究科 芸術専攻 博士前期課程1年 指導教員:國安 考昌
キーワード:アート、道や公園や駅前などの場所、小ささ
美術館や音楽ホールなどに行かないと、生の美術や音楽には触れられないのでしょうか? 例えば私たちがふだん使っている通り道、駅前、公園など。そこでもストリートライブや誰かが残した落書きなど、ある種の”表現活動”が展開されています。芸術の正道とは少し外れるかもしれませんが、そこに積極的な意味を見出すことから広がる可能性があるんじゃないかと思いました。
発表者:湯田坂 卓人 所属:システム情報工学研究科 知能機能システム専攻 博士前期課程2年 指導教員:若槻 尚斗
キーワード:楽器音響、振動モード、非線形振動
私たち人間がまだ解き明かしていないコト、たくさんありますよね。進化、遺伝子、宇宙・・・挙げていったらキリがありません。そして、身近なものでもまだ完全には理解されていないことも。その一例が、楽器。何千年も昔から親しまれてきた楽器でさえ、「どうしてこんな音が出るのか」未だ解明されていないのです。 私は楽器の物理を研究しています。特に注目しているのが「シンバル」。他の楽器には見られない複雑さがあります。簡単に言うと「叩く力の強さで音色が大きく変化する」ということ。実際に叩いてみれば一目(聞?)瞭然です。本報告では、楽器が持つ「不思議」と、それを解明していく私の研究について紹介したいと思います。
発表者:吉田 光男 所属:システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻 博士後期課程2年 指導教員:山本 幹雄
キーワード:情報検索、ウェブ工学、自然言語処理
現在、ウェブ検索エンジンは、ウェブ上のコンテンツ急増に伴い、インターネットを利用する際に欠かせないサービスとなりました。しかし、ウェブ検索エンジンの性能はまだ十分ではありません。その原因の一つは、ウェブページの中のコンテンツ(主要部分)が特定できていないからです。最近のウェブページには、広告や参考情報など、コンテンツ以外の部分が多いため、ウェブ検索エンジンに対するノイズとなっています。発表者は、ウェブページの特定部分が、他のウェブページでどのように出現するかに着目し、全自動、高精度なコンテンツ抽出手法を開発しました。本発表では、発表者が開発したコンテンツ抽出手法と、その応用例を紹介します。
発表者:阿部 貴晃 所属:生命環境科学研究科 生物科学専攻 博士前期課程1年 指導教員:沼田 治
キーワード:発生、進化、コウモリ
現在、地球上の様々な環境に進出し、繁栄している哺乳類の中でも、コウモリはその種数において二番目に大きなグループである。彼らの繁栄は空を飛ぶ能力、すなわち飛翔能力の獲得によって説明されるが、彼らがどのようにして翼を獲得したのか、その進化の道筋は未だ明らかとなっていない。本研究は、生き物の形づくりの分野である発生学の視点から、その進化に迫る。今回のプレゼンでは、これまでの研究からわかってきたコウモリの「翼づくり」を紹介し、彼らの進化の過程を推察する。
発表者:池松 俊哉 所属:生命環境科学研究科 生物資源科学専攻 博士前期課程2年 指導教員:江面 浩
キーワード:ミラクリン、ダイエット、糖尿病治療
ミラクルフルーツに含まれる「ミラクリン」は、酸味を甘味に感じさせる作用がある。そのため、ミラクルフルーツを食べた後にレモンなどのすっぱいものを食べると、面白いほどに甘く感じる!この作用を利用して、「ダイエット」や「糖尿病治療」への利用が期待されている。しかし、ミラクルフルーツは熱帯原産で、日本での栽培が困難なため、あまり普及していない。また、価格も2~3cmの1粒で約300円と非常に高価である。そこで、栽培の容易なトマトに「ミラクリン」遺伝子を導入し、トマトでの「ミラクリン」生産を試みた。この「ミラクルトマト」で「ミラクリン」の生産性を高め、普段の食生活や治療でより身近に利用できるようにしたい。
発表者:小林 透 所属:システム情報工学研究科 知能機能システム専攻 博士後期課程2年 指導教員:若槻 尚斗
キーワード:弦、振動、うなり
本研究は弦振動が減衰する際に発生する非周期的なうなりを再現できるモデルの構築を目的とする。強固に固定された弦の2次元の横振動を光学的に計測し、その2次元振動における減衰時のうなりを観測した。その結果うなりの周期は弦の初期振幅の大きさに依存することが明らかになった。この現象を弦の伸縮による影響と考え、弦の伸縮に伴う非線形な復元力を表現した振動子によるモード振動のモデル化を行った。実測との比較により、1本弦のうなりは、直交する2方向の共振周波数が等しい場合においても、振動に伴う弦の伸びと減衰の影響により、振幅が大きい時にうなりが発生することが示され、非周期的なうなりの原因である可能性が示唆された。
発表者:藤田 務 所属:システム情報工学研究科 知能機能システム専攻 博士前期課程2年 指導教員:水谷 孝一
キーワード:電気計測,食品計測,珈琲豆
珈琲豆は焙煎により大きく香味が変化する。現状では豆の色や発する音などを人が監視し、焙煎温度や時間を定める。しかしこの方法は経験や人件費が必要なため、機械的に焙煎度合いを調べる手法が望まれている。電気インピーダンス法は、水分量などの状態に応じて電気の流れ方が変わることを利用し、逆に電気的な特性から対象の状態を調べる手法である。迅速な計測が可能であり、様々な変化が短時間に生じる焙煎過程においても適用できる。珈琲豆を焙煎しつつ電気的特性を計測した結果、焙煎の進行に伴い電気が流れにくくなる傾向が見られた。焙煎進行に伴う電気的特性の変化が見られたため、電気による焙煎度合いの観察の可能性が示された。
発表者:竹中 淳 所属:人文社会科学研究科 国際地域研究専攻 修士課程1年 指導教員:佐藤 貢悦
キーワード:人間、儒教、陰陽
今日、人類は瀬戸際にいる。あらゆる意味で、人類をかつて人類たらしめていた基本的な諸条件が破壊可能になってしまった。原爆、遺伝子工学、長寿医療、温暖化、人口爆発、バーチャル・ワールド、いずれをとっても、近い未来に、人類という種族は消滅するか、あるいは大きな本質的変化を被る可能性が高い。 その背景には、人間を個人として家族や社会、自然などその背景から切り離し、相対立するものと認識する視点がある。西欧古代に端を発するアトム的人間観がその土台となっている。儒教は、親子の遺伝的つながりを軸として、人間の自己を他者から切り離すのではなく、むしろ適切に拡張していく視点を与える。陰陽的人間とは、人間を一つの場として周囲との絶えず干渉し合う一つの現象として捉える。
発表者:白井 智子 所属:システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻 博士前期課程2年 指導教員:三末 和男
キーワード:情報可視化、人間の行動、時間
時刻情報付きデータとは、行動や事件などのイベントと、それらのイベントが発生した時刻を記録したデータである。このデータを分析すると、行動パターンがわかり、マーケティング分野などの様々な分野へ応用することができる。本研究では、時刻情報付きデータの分析を支援するための表現手法としてChronoViewを開発した。ChronoViewは、アナログ時計の文字盤のような円を表示し、イベントをその中に配置することで、データに記録されているイベントと時刻の関係性を視覚的に提示する。また、用途に応じたインタラクションにより、イベントと時刻の関係性についての詳細をさらに分析していくことを可能にする。
発表者:池田 晴國 所属:数理物質科学研究科 物理学専攻 博士前期課程1年 指導教員:宮崎 州正
キーワード:物理、自己組織化、シミュレーション
雪の結晶や、シマウマの縞模様、果ては生命そのものまで、我々の見の回りでは秩序立った構造が自然に生じる現象を数多く見つけることが出来ます。この現象は自己組織化と呼ばれ学問的な興味と応用上の要請からさかんに研究がなされています。このような中で近年、”柔らかい粒子”が注目を集めています。”柔らかい粒子”とは、例えばゴムやスポンジで出来た球のように、押せば押しただけへこむ粒子の総称です。我々はこれらの粒子を多数集めて、箱に詰めた場合にどのように振る舞うかを計算機上でシミュレーションしました。その結果非常に単純な構造から当初想像出来無かった程多彩な構造が表われることが明らかになりました。
-原子レベルからの第一原理熱伝導計算-
発表者: 山本 晃平
所属: 数理物質科学研究科 電子・物理工学専攻 博士後期課程2年
指導教員: 小林 伸彦
キーワード:応用物理、ナノエレクトロニクス、量子力学
便利さは電気回路がもたらしている。電気回路が人間の代わりに複雑な作業を行うので、私達はボタンひとつでメールを送り、電話し、洗濯し、優秀な医療機器による治療を受けられるのである。今や電気回路の発展は人類の繁栄に直結している。しかし現在、この発展が回路の発熱という大きな問題によって妨げられている。回路がこのまま微細化を続ければ、回路は太陽ほどの熱さになると言われている。放熱させようとしても微細化された配線の熱伝導度は従来の計算法では予測できない。そこで私は配線を原子の集まりとして考え、その振動の様子を精密に計算することで配線の熱伝導度を導くことに成功した。これによって人類は放熱への足掛かりを得た。