プレゼンひろば

夕方のプレゼンが隔週ではありますが、レギュラー化いたします。 企画名は「プレゼンひろば」です。 研究プレゼンを通して異分野の人々が交流できる場を目指していきます。 レギュラー化、1発目は今週末です。 是非、お越しください。

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教員プレゼンバトル2013 第三回講義概要

◆津田和彦先生 「テキストマイニングとその応用」
[プレゼン発表] _DSC6482 津田先生は、東京キャンパスにあるビジネスサイエンス系の先生です。今回は、教員プレゼンバトルに参加するために筑波キャンパスまでお越しいただきました。筑波キャンパスで学ぶ私たちにとって、今まで東京キャンパスとはあまり接点がなかったと思います。今後TGNでは、東京キャンパスも積極的に巻き込んで筑波大学全体を学術的に盛り上げていきたいと思っています。さて、プレゼン内容に話を戻します。津田先生は、日本語や英語などのいわゆる自然言語(コンピュータ言語と比較してこのように呼ぶ)で書かれた文章の中から、内容を計算機を用いて抽出する研究を行っています。人間でない計算機からすると、ネット上の文章やメールは無機質な文字の羅列にあたるため、そこから内容を引き出すなんて信じられません。しかしそれを可能にするのが、膨大なデータの中から規則性を掘りだす、データマイニングという計算機科学の手法です。データマイニングの手法では、様々な形でやりとりされる文書を主語と述語に分解し、高度な計算を駆使して文章内容をくみ取ります。特に、文末の述語に注目すると、その文章が肯定的な内容なのか、あるいは否定的な内容であるのか大体判定できるそうです。ところで、ネット上の文章やメールのやりとりには顔文字がよく使われます。携帯メールで活用している方も多いのではないでしょうか。意外にもこの顔文字が、文章の内容を読み取るのに結構役に立つそうです。例えば文末に、(;`´)oという顔文字があったとします。この時、顔文字の中の“`´”に注目することで、怒りを表す内容であることを引き出すことができるそうです。こうした研究技術は、試験的に宿泊サイトの批評の解析などにも応用されているようです。ネット上でやりとりされる文章がますます増えている昨今、津田先生の研究は今後大きな応用の可能性を秘めていると感じました。津田先生のプレゼンは、常に聴衆を見ながら語りかけ、私たちと呼吸を合わせながら発表するスタイルでした。何十人もの受講生を相手にしているにも関わらず、あたかも一対一で話を聞いているかのような錯覚を覚え、プレゼンに自然と引き込まれていきました。「聴衆とリズムを合わせる」という感覚が、プレゼンを生き生きと魅力的なものにするということを認識しました。   [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. 「部屋は広いけど料理はちょっと。。。」というように、日本語には真意を明らかにせずに、相手に空気を読ませるような文章表現がある。このような表現から内容をくみ取るようなことは可能だろうか。(文学を専攻する大学院生) A. 「。。。」(3点リーダー)という文章表現の場合、 直前の単語でほとんど意味が決定されている。今の例だと、直前の「ちょっと」が文章全体を否定的な意味に導いている。このような3点リーダーに関しては、90%くらいの正答率で文意を特定できる。 Q. それでは、他にも嫌味や皮肉を文章からくみ取ることは可能か。 A. これらはなかなか難しい。しかし、顔文字の解析が役に立つ場合が多い。   [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。    
◆遠藤靖典先生 「クラスタリングによる知識発見」
[プレゼン発表] _DSC6503 遠藤先生が専門とするクラスタリングとは、人間の手には負えないような沢山のデータを、類似なもの同士に分類する計算機科学の手法のことです。みなさんお気づきだと思いますが、遠藤先生とひとつ前の発表者の津田先生の研究分野は非常に近いと思います。現在、データマイニングやクラスタリングは、ビジネス、シス情と研究科を越えて活発に研究されており、今後大注目の研究分野のようです。さて、私たちが普段何か物事を分類するときには、分類するための指針のようなものを使っていると思います。(例えば、タコとイカを分類するのは“足の数”でしょうか?)このような指針のことを計算機科学の分野では、「教師」と呼ぶそうです。しかし、いつでも適切な教師が存在するとは限りません。また、無理に教師を設定しようとすると、誤った分類を導きかねません。そこで、遠藤先生は、「教師なし」で分類を可能にするクラスタリング手法について紹介されました。つまり、データのみの情報を用いて分類を行うことができるそうです。研究事例として、twitter上でのデマ情報の検出について発表されました。twitterは、誰でも気軽に情報発信ができ、伝達スピードは既存のどのメディアよりも速いことが知られています。そして、東日本大震災では、災害時の情報伝達に非常に優れているということが明らかになりました。しかし一方で、twitter上に多くのデマが生まれ、それが混乱を引き起こすことが浮き彫りとなりました。そのため、今後より有用な情報伝達メディアとして扱うために、害のあるデマと本当に有用なニュースを見分けることが要求されます。そこで、遠藤先生はクラスタリングの研究手法を応用し、twitter上のデマ検出に取り組みました。具体的には、twitterの情報のみを使って(教師なしで)、「デマ」と「本当のニュース」を分類する手法を提案されました。その結果、なんと80%の精度で、デマと本当のニュースを分類することができるようになったそうです。遠藤先生は発表中、ステージを飛び出して会場を自由に行き来し、躍動感溢れる発表を展開されました。そのため、計算機科学という緻密な研究内容の発表にも関わらず、研究に対する情熱が存分に伝わってきました。講演後の休憩時間中も、質疑応答のコーナーでは物足りなかった学生たちが列をなして質問している姿が印象的でした。   [質疑応答コーナー] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. twitterの文章が肯定または否定的な内容を含むことと、そのtweetがデマであることはどのように対応するのか。(物理学専攻の大学院生) A. デマには危機感を煽ることを目的にしたものが多いので、否定的な内容がデマの特徴の一つとなる。そのため、デマの同定には、文章中の否定的な部分の抽出が有用となる。 Q. 実用上、不安感を煽るような否定的デマは早急に同定する必要があるだろう。逆に「私はダイエットに成功した」みたいな肯定的デマは広まってもあまり害はない。(笑)   [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。    
◆岩井宏暁先生 「イネの細胞壁をデザインする」
[プレゼン発表] _DSC6543 岩井先生は、植物生理学、植物細胞生物学を専門に研究している先生です。今回は、バイオ燃料への応用を目指した、イネの細胞壁に関する基礎研究について発表して頂きました。岩井先生は、「植物のかたちはどうやってできあがるのだろうか」という素朴な疑問から植物の細胞の研究をはじめられたそうです。植物はレンガのように積まれた細胞で作られており、その細胞をがっちりと支えているのが細胞壁です。この細胞壁が植物のかたちづくりに果たす役割を調べる一方で、逆に細胞壁を自由にデザインすることで、何かに役立つ植物を作ることができます。そこで注目されたのがバイオ燃料への応用です。地球上のエネルギー問題が深刻化してきているなかで、バイオ燃料にかかる期待は日々増すばかりです。しかし、バイオ燃料をもっと実用的なものにするには、まだまだ克服しなければならない問題点が多いそうです。その中でも、茎などの食べられない部分をより効率よく燃焼できる作物を開発することが求められています。そこで岩井先生は、バイオ燃料の源となる、細胞壁中の「セルロース」を増やす研究に着手されました。試行錯誤の結果、セルロース同士を結ぶ“ワイヤー”役である「ヘミセルロース」の発現を抑えると、セルロースの量が増加することを発見しました。さらに、今回発見したセルロースを多く含むイネは、丈夫で病気にもなりにくい性質を併せ持つことも分かったそうです。以上の性質は、バイオ燃料の効率化に向けた大きな示唆を与えるそうです。「植物のかたちはどうなっているのだろうか」、という基礎的な問題意識が、エネルギー問題に関わるバイオ燃料の研究へと結実していく展開にワクワクさせられました。「わたしも研究頑張ろう!」と思った受講生も多かったのではないでしょうか。また岩井先生は、専門外の人にとっては全く想像できない細胞壁の中の世界を、ビルの構造に例えて説明されました。そのことで、呪文のように聞こえる「セルロース」や「ヘミセルロース」も身近なものに感じることができました。やはり、専門外の人には、分かりやすい対象に例える技術が大事であると痛感しました。   [質疑応答コーナー] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. イネ全体の内、食べられない部分をバイオ燃料に活用する一方で、食べる部分に遺伝子の組み換えに伴う何らかの負の影響が出たりしないか。(システム情報工学研究科の院生) A. 本研究の特色は、ヘミセルロースの量を抑えるとセルロースが増加するという、細胞自身の機能を使うことにある。また、本研究はトウモロコシのように直近の実用化を目指したものではなく、何十年も先を見越した基礎研究に位置づけられる。なので、食べる部分とバイオ燃料を兼ねるためにイネの研究をしているという意図よりも、研究に適したモデル生物としてのイネの役割に注目している。   [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。   文責:尾澤岬    

今年もやります!院生プレゼンバトル2013

学群生のみなさん、 大学院生がどんな研究をしているか、知っていますか?   大学院生のみなさん、 学群生や一般の方に対して、あなたがどんな研究をしているか、わかりやすく伝えられますか?

院生プレゼンバトルは、大学院生による研究プレゼンテーションのNo.1を選ぶ企画です。

様々な研究科や学群・学類を有する筑波大学では、様々な分野の最先端の研究が行われています。 しかし、このような研究の成果は、普段の生活ではなかなか知ることはできません。 特に、自分の所属と遠い分野であればあるほど、どんなことを研究しているのか知る機会は少ないというのが現状です。 また、近年、科学コミュニケーションなどのことばに代表されるように、 科学者・研究者が一般の人にもわかりやすく研究内容を伝えるスキルが求められています。 これは、大学での研究に携わる大学院生にも当てはまります。 しかし、学群生や一般の方はもちろん、大学院生同士ですらもお互いの研究を伝える機会は、そんなに多くはありません。 しかも、研究プレゼンテーションを「ただ聞く」だけなら、興味のある分野の学会に行けばいいじゃない・・。 そこで私たちは、「院生プレゼンバトル」と称して、2011年度から研究プレゼンテーションスキルの向上学術交流を図る企画を運営してきました。 3回目となる今回は、 10月19日(口頭発表部門予選)と、11月3日〜4日(ポスター発表部門、口頭発表部門本戦)の日程で、 大学院生による研究発表会を行うだけでなく、来場者も審査員として参加できるイベントを開催します。 プレゼンターとして参加する大学院生は、自分自身が日頃行なっている研究についての発表を行います。 ここでは、学群生や一般の方にもわかりやすく、そして、魅力的な研究プレゼンテーションが求められます。 来場者は、大学院生の研究プレゼンテーションを見聞きするだけでなく、 その場で質問が可能な上、審査員として投票もおこないます。 そして投票の結果、特に優秀だったプレゼンターが表彰されます。
院プレティーザー

← 大学構内の各所にこんなポスターが貼られています!

制作: 田中みさよ

MMI休止のお知らせ

!!【重要なお知らせ】!! MMIは今週5月13日の回をもちまして、一旦お休みさせていただきます。ご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご容赦ください。これまで、お越しいただいてだ皆様、発表をしていただいた皆様、大変感謝いたしております。ありがとうございました。 不定期ではありますが、夕方特別版(仮称)はこれからも継続致します。日程が決まり次第、お知らせいたします。 今後ともMMIならびに他のTGNの活動へのご支援をよろしくお願いいたします。

5月13日(月)のMMIは?

5月13日のMMIの発表者が決まりました。 次回MMIは、 数理物質科学研究科 電子・物理工学専攻、核融合学の横山拓郎さんによる 未来のエネルギー“人工太陽”を実現する! 〜海水から無限のエネルギーを作る研究〜」です。 いつもの通り、朝8時から中央図書館エントランスホールにて。お待ちしてます。   MMIでは発表者を募集しています。
発表者 学生(院生でも学群生でも)
内容 自身の研究発表
時間 30分程度(15分プレゼン+15分ディスカッション)
場所 筑波大学附属中央図書館 入口
対象 異分野の方(院生、教員、職員などなど)
興味のある方は問い合わせフォームからどうぞ。

教員プレゼンバトル2013 第二回講義概要

◆掛谷英紀先生 「プロパガンダを工学する」
[プレゼン発表] _DSC6070 「プロパガンダ」とは政治やマスコミ関係でよく出てくる用語です。広辞苑で調べてみると、『特定の政治的考えを押し付けるための宣伝』という意味らしいです。それを工学するって一体どういうことでしょうか。残念ながら私には全く想像が出来ませんでした。そんな予想外なタイトルに惹かれた方も多かったと思います。思えば、「新聞やテレビなどのマスメディアは思想的に中立ではなく、ある程度のバイアスがかかっている」というような言論を耳にします。実際には誰しも感じていることだと思うのですが、なかなか説明することは容易ではありません。このいわゆる、「言論のバイアス」を機械学習という工学の手法を使って定量的に評価しよう、と目論むのが掛谷先生の研究でした。機械学習とは大雑把に言えば、膨大なデータから意味のある情報を抜き出して整理する工学の手法のことです。では、この機械学習を使ってどのように思想的バイアスが暴けるのでしょうか。掛谷先生はいくつも研究事例を挙げながら説明されました。特に興味を引いたのは、新聞に書かれた文章だけから新聞社(読売、毎日、日経など)を当てるという研究です。文章に含まれる単語の出現パターンを機械学習によって整理し、どの新聞社の文章であるのか分類しながら推論するとのことです。「まさかそんなことは出来ないだろう」、と一見感じますが、予想以上に的中率の精度は高く、いかに各新聞社の言論に思想的なバイアスがかかっているか、という事実が浮き彫りになりました。その他にも、政治家の書いた文章だけから政党を分類することさえ出来てしまうそうです。また、このような研究成果を応用して「将来は選挙支援にも役立てたい」と目標を語っていただけました。発表の仕方は明快で、文系理系を問わず、全ての専攻の方が興味を持てるように非常に工夫されたプレゼン発表でした。 [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. このような研究をやっていて、外部から圧力がかかったりしないか?(生命環境の大学院生) A. 今のところは大丈夫だ。私がもっと有名になって、何か政治的なことを提言しはじめると、外部から圧力がかかってくるかもしれない(笑)。(掛谷先生) Q. 生物の進化の過程で、種というものはどんどん分化していく。そしてそれらは系統樹として書き表せるが、掛谷先生の開発した機械学習の手法で、政党の分化や、政党の系統樹的な解析はできるか。(生物系の教員) A. そのようなことは可能だ。例えば、選挙日が近づくと離党する議員がよく現れるが、彼らの文章を解析すれば、いつ離党するのか予測できるかもしれない。(掛谷先生) [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。    
◆卯城 祐司 「だから英語は面白い!」
[プレゼン発表] FPBthumbs 卯城先生は、英語教授法について研究している先生です。誰もが一度はお世話になった、有名な英語の教材の作成なんかにも携わっておられます。今回のプレゼン発表では、英語を学ぶことで楽しめる面白いトピックをたくさん紹介されました。例えば、「big」と「large」って、一見そっくりな単語ですが、ちょっとしたイメージの違いがあるそうです。bigには主観的なイメージが、そしてlargeには客観的なイメージをネイティブは感じているそうです。それゆえに、「ビッグマック」という商品名が放つ響きにはちゃんと意味があり、「ラージマック」では表現としてダメなのだそうです。今回の卯城先生のプレゼン発表で、新しく英単語を学ぶ際に意識すべき事が増えてしまったと感じるかもしれません。しかし、「実用的な英語」を駆使する上でその単語のニュアンスを把握することは重要であり、将来、海外で活躍する「グローバルな人材」になりたい方には非常に有意義な情報だったのではないでしょうか。話は変わりますが、個人的に印象に残ったのはプレゼンスタイルです。卯城先生は、聴衆に疑問を投げかける際に、30秒ほど隣の席同士で相談させる時間を設けました。私は当初、なぜわざわざ隣と相談させるのだろうか、と疑問に感じていましたが、後で腑に落ちてしまいました。プレゼン中にも関わらず会場内でガヤガヤと話させることで、場内の雰囲気のギアチェンジを引き起こしたのです。その後は、卯城先生のちょっとしたジョークにも会場が大いに反応し、プレゼンは爆笑の渦に包まれました。このことを卯城先生は意図して狙っていたのでしょうか?「だから卵城先生は面白い!」。 [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. アメリカ英語とか、イギリス英語、またはインド訛りなど、様々な英語の発音があるが、我々日本人はどういった発音をめざせばいいのか?(リスク工学専攻の大学院生) A. 本当の答えはわからない。昔は、アメリカやイギリス英語を目指したが、現在は様々な英語発音に対して、それぞれ同様に価値があると考えられている。そのことを反映して、Englishesという単語もあるくらいだ。(卯城先生) Q. 日本人の英語発音はネイティブにとって聞き取りやすいのか?(人間総合科学研究科の大学院生) A. 日本人の英語発音はフラットで聞き取りにくいらしい。ネイティブの英語には、リズムがある。日本人にとってインド人の英語はなんとなく訛っていて聞き取りにくいイメージがあるようだが、ネイティブにとっては、日本人よりもインド人の英語の方が、リズムがあって聞き取りやすいらしい。(卯城先生) [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。      
◆山本洋平先生 「分子集積材料による新しい光・電子機能発現
[プレゼン発表] 山本先生 山本先生は、超分子化学という分野の研究をしている先生です。導入部では、化学が専門ではない学生も対象にして、化学とはどういう学問なのか基本的な説明をしてくださいました。誰もが「化学」と聞いて想像する原子。その原子を並べたのがあの一見無機質に見えてしまう周期表ですが、なんと山本先生は、各元素に日本のアニメキャラが描かれたイメージ破りの周期表を紹介されました。この作戦に、思わず(多くの)受講生は度肝を抜かれました。山本先生の作戦勝ちですね。お見事です。さて、化学では様々な分子を作るうえで、原子と原子の間の結合が重要な役割を果たします。とりわけ、共有結合という非常に丈夫な結合が有名です。しかし、共有結合よりももっと弱い結合でも、多様で魅力的な物質を作り出すことができるというのです。特に、山本先生が研究している、超分子とは、分子同士がゆるやかな結合で繋がった分子の集合体のことです。超分子は、結合のゆるやかさ故に、温度に応じて勝手に分子が積みあがるという性質を持ちます。その性質を最大限に用いた「自己組織化」のアニメーション映像は圧巻でした。単に、水と油に馴染みやすい両親媒性分子を溶媒の中に入れるだけで、東京スカイツリー顔負けの見事な建造物が勝手に組みあがってしまいました。山本先生曰く、これらの超分子が見せる性質を巧みに利用し、有機エレクトロ二クスに応用するのが目標だとのことです。山本先生のあっと驚くような発想による研究成果が、私たちの身近なデバイスにも使用される日が来るでしょう。そんな日が待ち遠しいですね。 [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. エレクトロニクスというと金属のイメージが強いが、有機エレクトロニクスは何がうれしいのか?(数理物質科学研究科の大学院生) A. 有機分子は金属に比べて、軽くて柔らかいので非常に扱いやすい。さらに、金属を使わないということで資源の節約にもなる。(山本先生) Q. 新しい材料を開発すると、研究の段階では無害と判断されても、後に応用されるようになってから毒性などが見つかったりはしないか。(システム情報工学研究科の大学院生) A. 今のところない。私の研究は基礎研究に位置づけられ、応用として皆さんの生活に生かされるには、もう何ステップもの応用研究が必要だ。その間に毒性などの検証がなされるだろう。(山本先生) [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。     文責:尾澤岬        

附属図書館ラーニング・アドバイザーによるMAINICHI Morning Institute!4月22日~26日

4月22日~26日は、春のMMI特別週間です! 月曜日から金曜日まで5日間連続でMMIを行います。 今回のプレゼンターは附属図書館ラーニング・アドバイザーの5名の方です。 ラーニング・アドバイザーとは、中央図書館2階の学生サポートデスクにて、 図書館の使い方や学習全般に関して相談を受け付けている院生です。 (ラーニング・アドバイザーについて、詳しくはこちら) いつものように、朝8時、中央図書館エントランスにてお待ちしています! MAINICHI Morning Institute 2013 の ポスターはこちら ―――――― <プレゼンター&タイトル一覧> 22日(月) 「マトリョーシカ生物! クロララクニオン藻の細胞分裂における『核』と『葉緑体』の協調関係」 23日(火)「留学生の外国語なまりは直すべき?」 24日(水)「空気で元気!?」 25日(木)「『未履修問題』とは何だったのか」 26日(金)「『笑う門には福来る』のか?」 ―――――― 日にち 4月22日(月)~26日(金) 時間 8:00~8:50 プレゼン時間は15分、残りはディスカッションタイム (1限前に抜けられます) 場所 中央図書館エントランス  スタバ前 (8時に入り口の鍵が開きます)

教員プレゼンバトル2013 第一回講義概要

”他の用事と被って,今日の教員プレゼンバトル行けない…” そんな人のために,講義の一部をお見せします! 今回は4/12,第一回講義をどうぞ!
◆渡辺政隆先生  「アニメアイドルキャラの進化生物学」
[プレゼン発表] 渡辺先生 渡辺先生は、進化生物学やサイエンスコミュニケーションが専門の先生です。発表タイトルは、「アニメアイドルキャラの進化生物学」ということで、プレゼン発表を聴く前からワクワクした人も多かったのではないでしょうか。では一体どんな発表内容だったのでしょうか。感想を交えながら簡単に振り返ってみたいと思います。まず導入部分で、渡辺先生は生物の進化のメカニズムについてよくかみ砕いて説明してくださいました。その中でも特に動物の赤ちゃんの形態の進化的な意義についての紹介が興味深いものでした。ヒト、イヌ、ウサギなど様々な動物の赤ちゃんは、まん丸い大きな頭、短い手足、大きな目などの、思わず、「かわいい!」と心の中で思ってしまうような身体的特徴を有しています。渡辺先生は多くの動物の胎児でこのような形態的な特徴を共有している背後には何らかの理由があるはずだと想定し、進化的な意義についての議論を紹介されました。そして、私が思わず身を乗り出してしまいそうになったのは次の展開です。渡辺先生はプレゼン発表の中で、「進化生物学の考え方は、生物の進化のみならず、我々の社会や文化の中にも見出すことができる」、と提案されました。例えば、私たちのよく知っている、ミッキーマウスや、スヌーピー、鉄腕アトム、アンパンマンなどのアニメアイドルキャラは、デビュー当時から現在まで、少しずつですが刻々と形態が変化しています。そして、これらのアニメアイドルキャラの形態の変化にはある共通の傾向がみられるのです。渡辺先生はこの傾向を、動物の赤ちゃんの形態の進化と同様の視点で理解する試みを提案されました!このような斬新な発想には、会場からどよめきが起こるほどでした。進化生物学という科学的な視点で社会や文化を見渡すことで、日常生活における物事の見方も変わってきます。また逆もしかり、日常生活の中にも、科学的対象が広がっていたということです。「視点を替えて見ることで物事の見方が大きく変わる」そのようなことを強く感じたプレゼン発表でした。 [質疑応答] 質疑応答では、異分野間のコミュニケーションらしい議論が繰り広げられました。特に白熱したやりとりを紹介します。 Q. 先生が提案したアイドルキャラの進化についての仮説は実証不可能ではないか?(医学を専門にする教員) A. 一般に、進化は一度きりの現象なので、検証するのは難しい。進化学は、数々の状況証拠から仮説を立てる。新たに見つかった事実が仮説に合わなければ、また別の仮説へと移り変わっていく。(渡辺先生) Q.  では進化学が持つ、そのような欠点も含めてプレゼンした方がより魅了的なプレゼンになるのではないか。(医学を専門にする教員) A. そうかもしれない。今回は、わかりやすさを重視し、欠点については言及しなかった。(渡辺先生) 実験によって、新たな知見や仮説の検証を積み重ねていく医学の分野と、本質的に実験による検証が難しい進化学、の二つの分野の相違が鮮明に浮かび上がった質疑応答内容でした。またその後も、「私の分野ならこう考える」、というような趣旨を述べる質問者も次々に現れました。間近で質疑応答を見ていた受講生のみなさんは、異分野間でのコミュニケーションの現場を体感する共に、その重要性を再認識したと思います。 [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。
◆神谷克政先生  「待機電力ゼロのコンピュータを目指して ‐次世代メモリを計算科学で設計‐」
[プレゼン発表] 神谷先生 神谷先生は、スーパーコンピュータを用いた計算科学の研究を行っている先生です。神谷先生の目指されている研究の構想は、近い将来、我々人類が直面するのであろうエネルギー問題に直結するものでした。近年、パソコンやスマートフォンなどの電子機器がますます身近なものとなり、今後もその数が増大していくことが予想されます。それと同時に、電子機器によってやりとりされる情報の量も爆発的に増えていくことになる事も明らかになっています。その負の側面として懸念されるのが、情報量の増加に伴い消費されるのであろう莫大な電力が、深刻なエネルギー問題を引き起こすのではないかということです。しかしながら、現状のIT産業の成長ぶりを見る限り、情報量の増大は避けて通れないものであると考えられます。仮にもしそうだとすると、電子機器をより省エネルギーな設計にすることが喫緊の課題となります。「どうにかして省エネな電子機器の設計を可能にしたい。」これが神谷先生の常日頃の研究のモチベーションだそうです。現在の研究の手掛かりとなった発見は、電気機器の情報を貯蓄する部分(メモリ)の消費電力のうち、結構な割合が未使用時の待機電力で占められているということでした。そこに注目した神谷先生たちは、この待機電力をできるだけ抑え、できればゼロになるような、次世代のメモリ開発に取りかかりました。そんな神谷先生たちの武器は、スーパーコンピュータを使った計算機シミュレーションです。メモリに使われる材料をミクロなレベルからシミュレーションすることで、待機電力発生のメカニズムに迫ると共に、その発生をできるだけ抑えるデザインを提案されました。省エネな次世代メモリの開発を目指した神谷先生の挑戦は、今後も続くそうです。熱意に満ちた神谷先生のプレゼン発表からは、人類が直面するとされる困難に立ち向かう科学者の生き様が感じられ、聴講された方々は「世界を変える」研究の雰囲気にドキドキしたと思います。 [質疑応答] 質疑応答のコーナーでは、異分野間コミュニケーションが活発に行われました。特に白熱した議論を紹介します。 Q. 神谷先生の新たに提案した、次世代メモリの消費電力は、従来のものに比べてどのくらい省エネになると予想できるか。(教育学を専攻する大学院生) A. 消費電力で言って、だいたい10分の1くらいだ。(神谷先生) Q. “どの程度省エネであるか”を身近な数値に焼き直して提示してくれるとわかりやすい。10分の1の消費電力という数値を、我々が普段使っている電気代に換算して提示したらどうか。実生活の概念に置き換えることで、神谷先生の研究成果をより身近に感じてもらえるのではないか。(教育学を専攻する大学院生) A. それは非常に良い提案だ。勉強になった。今後に生かしていきたい。(神谷先生) 上記のように、受講していた大学院生から、神谷先生のプレゼンに対する提案がありました。研究で得られたアウトプットを、各分野の専門用語から、日常生活の言葉に変換して伝えるというテクニック。異分野コミュニケーションのエッセンスが詰まった質疑応答でした。 [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。  
◆貝島桃代先生  「社会的枠組みとしての建築」
[プレゼン発表] 貝島先生 貝島先生は、「建築」という視点からまちづくりのデザインに携わっている先生です。今回の発表では、貝島先生の研究室が主導で行った、「まちづくりプロジェクト」を具体例にしながら発表されました。建築家というと、家やビルなどの個別の建物を設計する専門家、という従来イメージを持ってしまいがちですが、貝島先生曰く、「まち全体のデザインに関わる建築家」なのだそうです。まちづくりのデザインには、それぞれの地域社会の個性や特徴を生かしたものが要求されます。そのため、地域社会の中に飛び込んで、その場所の特性を知ると共に、地域住民の意向等も反映させた、個々のまちづくりが必要となります。実際に貝島研究室が主導した、埼玉県北本市でのプロジェクトは、“北本らしい”駅前広場のまちづくりを目指し、市民・地域プロデュースの専門家・行政による官民一体の体制で進められました。このプロジェクトは、駅前広場のハード面での整備のみならず、広場をどう使うか、などというソフト面の整備も平行して進められました。しかし、このようなプロジェクトには問題点も山積です。例えば、北本市のようなベッドタウンでは、昔からその地域に住んでいる旧住民と、新住民の対立構造が存在し、このことは、地域住民の意向の反映を難しくしています。そのため、お互いの意見を通わすためのワークショップの企画や提案、地域住民のふれあいの場を社会実験的に導入等、両者にとってのよりよいまちづくりの構想を深めていくという取り組みが行われています。このプレゼン発表では、普段、私たちが持っていた、従来の建築家という先入観とは異なる、広義の意味での「建築家」の社会との関わりについて知ることが出来たと思います。また、聴講された方々は今回のプレゼン発表を元に、今後のまちづくりの方向性と可能性について想いを馳せてみることが出来るようになったと思います。 [質疑応答] 質疑応答のコーナーでは、プロジェクトの理念や、直面した困難についての質問が多数ありました。印象に残っていたのは次の質疑応答です。 Q. 貝島先生が行っているまちづくりプロジェクトには、何かゴールのようなものがあるというよりは、常に変化を受け入れながら、より良い形に導いていく、というような印象を受けたが、何かプロジェクトを行うに当たって目標などはあるか。(生物資源を専攻する大学院生) A. 確かにそうだ。何か目標があるというよりか、前の世代がその地域社会に残してくれたものを引き継いでいるという感じで行っている。つまり、リレー作業のようなイメージだ。(貝島先生) [種明かしディスカッション] 種明かしディスカッションのコーナーでは、プレゼン発表の極意や、気を付けていることなどを教えてもらったり、根掘り葉掘り質問攻めにするコーナーです。毎回、目からうろこの情報ばかりですが、これは実際会場に来て聴講した人の特権ということで、ここでは公表しません。   文責:尾澤岬